「アナログ眼鏡を掛けたまま」2021年3月14日日曜日
「客に尻を向けて良い仕事が二つある。指揮者と風俗嬢だ」
・仕事中にふと思いついた言葉だが、類似する名言はなさそうだ。
・両日ともよく晴れた週末だった。有り難くも来週に送別会を開催してくれる事となった同僚に渡すお礼の品を買い求めるべく、車を出して街に出た。割と良い店に行ったのだが、品物は結局、ハンカチとコーヒー豆のセットという、当たり障りないものになった。昼飯はラーメンにした。替え玉も食べた。
・女性へのプレゼントならもっとやりようがあるが、男に渡す品物は選択肢が少ない。特に、他ならぬ自分自身が"物を貰って喜ばない性質"なのがよくない。長く使うものは、場合によっては数年掛けて悩んで選ぶ性分なので、消えもの以外を貰っても持て余すだけになってしまうのだ。
・さらに言えば、自分は珈琲豆一つ買うにしても他県の豆屋に足を運ぶような具合なので、貰ったものが消えものであっても持て余す。改めて、難儀な奴だと切に思う。
・人から貰って、日常の使用に応えたものは数少ない。姉から貰った三河みりん、友人から貰ったイルビゾンテの皮クリーム、亡くなった叔父から貰ったSONY vaioL(パソコン)、そんなもんだろうか。
・転勤のない職に転じたことを期に、15年ぶりに植物を始めた。
・毎朝特に用事もないのにベランダに出て、ご機嫌を伺ったり水が欲しくないか気にしたりする。
・特にこの時期の植物は楽しい。春が近づくにつれて枝葉が伸び、それらが次々新しい蕾をつけてゆく。静かに淡々と、何も変わらないように見えて、その実しっかりと、命ならではの暖かな連続性を持ち合わせている。
・ベランダのつるバラの芽。可愛い。いつかアパート全てをそのつるで覆って欲しい。大家もきっとそれを許してくれるだろう。
❤︎今日のお言葉:レトロニム
・レトロニム/再命名とは、『ある言葉の意味が時代とともに拡張された、あるいは変化した場合に、古い意味の範囲を特定的に表すために後から考案された言葉』のことを指す。ウィキペディアからのコピペである。
・最近の例を挙げれば「有観客ライブ」というのがレトロニムに当たる。ライブは本来、有観客で行うものだが、「無観客ライブ」という新形態が台頭した事により、客を呼んで行う従来型のライブを指し示す言葉として「有観客ライブ」という名が再命名された。
・新型コロナウイルス感染拡大というパラダイムシフトが、「有観客ライブ」という新しい言葉をこの世にもたらした。
・レトロニムの最も代表的な例に「フィルムカメラ」がある。
今「フィルムカメラ」と呼称される機械は従来、単に「カメラ」と呼ばれていたが、「デジタルカメラ」の出現・台頭によって、逆説的に「フィルムカメラ」という言葉で再命名される事と相成った。
・ほんの十数年前迄は、まるで使い物にならなかったデジタルカメラが、もはや今日の写真の世界では"前提"のものとなり、仕舞いには、カメラは特定の機械を表す単語ではなく、"写真を撮る"と言う機能そのものを指し示す言葉にシフトしつつある。ともすれば、二十年ほど前に生まれたばかりの「デジタルカメラ」という単語さえ、レトロニムと化してしまいそうな勢いだ。
・自分が今置かれている立場、就いている職業の名前が、レトロニムとして扱われる未来を想像したことがあるだろうか。安全安心と呼ばれた「公務員」ですら、レトロニムになりうる未来を秘めている。
・世界は加速度的に変革している。「未来視」の力がより重要度を増してくる。視力を上げるため、まず、自分が今やっていることが一切の価値を産まなくなった未来を想像してみよう。
・なんか怪しい宗教のセミナーみたいな感じになった……もう寝ます。