先人が見た景色
初めての一人旅の終着点は長崎だった。
景色の良いところでのんびりしたい。
そんな思いでたどり着いたのはグラバー園だった。
旧グラバー邸の玄関先から見えるのは、広い海、向かいの丘。
そしてその間を行き来する数々の貿易船。
荷物や人々を乗せ、港から飛び出していく船。
勇ましく汽笛を鳴らし、大海原へ旅立っていく悠然とした佇まいは
見ていて心地よく、私の心を穏やかにしてくれた。
しかしふと思う。
グラバーの生きていた時代では、船旅は命懸けだ。
きっと今ほど落ち着いて、出港を見てはいられなかっただろう。
貿易商だったグラバーも、そんな一人だったかもしれない。
そんな不安を除くため、技術は磨かれ文明は発展し、
人の心を落ち着かせる景色の一部になった。
癒やしをくれたこの景色は、人の努力でできている。
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