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フランスとネスプレッソとアイスコーヒー。

 日本にいる時から、私はネスプレッソユーザーだ。
一人暮らしをしているときから持っていて、ドイツに来た今もデロンギとネスプレッソがコラボしたようなマシンを買って使っている。

 しかし近所にはネスプレッソのコーヒーカプセルが売られていない。
その分色々なブランドから互換カプセルが出ているのでコーヒーを飲む分には困らないのだけど、やっぱりネスプレッソの味が恋しくなる。

 調べてみたところ、私の住む町から最寄りのネスプレッソブティック(ネスプレッソのマシンとカプセルが買えるお店のこと)までは、電車で2時間以上かかる。ネット通販があるので、ドイツで配達ボックスが使えるようになってからネット注文しようと思っていた。

 そんななか先日、リヨンの街中でネスプレッソブティックを見つけた。
この時期ネスプレッソでは、期間限定のアイスコーヒー専用のカプセルが販売される。毎年それを買っては、氷を入れたカップにエスプレッソを落として、アイスラテや水を注いでアメリカーノとして楽しんでいた。


できれば今年も、あのアイスコーヒーを楽しみたい。


 そんな思いで、ネスプレッソブティックに入店した。
しかし発売直後にもかかわらず、日本では3種類出ているはずのアイスコーヒー用のカプセルが1種類しか置かれていなかった。


ネスプレッソのコーヒーが飲めるならまあいいか……
私はなくなく、フランス限定のカプセルといくつかを購入してお店を後にした。

戦利品。紙袋のと黄色い箱のが日本未上陸のカプセル。
紙袋のはアルミニウムを使っていないエコな商品らしい


 あとで調べてわかったことだが、フランスにはアイスコーヒーを飲む文化がそもそもあまりないらしい。
スタバなど外国系のカフェにはあるものの、昔からあるような街のカフェにはあまり置いてないそうだ。


 コーヒーはホットで楽しむもの、という習慣が根強いらしい。
フランスは自由な国だけれど、食だけは結構ルールがあって厳格なところが面白い。


 ちなみにドイツのネスプレッソはどうなのかというと、日本と同様アイスコーヒーのカプセルが3種類全部販売されている。

ドイツネスプレッソ公式サイトより
ココナッツフレーバーはもう完売している


ドイツのカフェにあまり入ったことがないのでアイスコーヒーの普及率はわからないけれど、「アイスコーヒー」を頼むと、日本で言うところの「コーヒーフロート」のようなものが出てくるという話は聞いたことがある。

 つまり、フランスほどではないかもしれないけれど、あまり一般的ではないのだと思う。でもドイツでは買うことができる。



なんでなんだろう?



 フランスにだって日本人は住んでいるし、ほかのアイスコーヒーに馴染みのある国の人は住んでいるはずだ。でも販売すらしないなんて……どんだけ冷たいコーヒーを忌み嫌っているんだ…と思わずにはいられなかった。

 ちなみにドイツでは「Kalter Kaffee(冷たいコーヒー)」というと「冷めた美味しくないもの、欲しくないもの」というイメージがあるらしく、「古臭い話」とか「とっくに知れ渡ったこと」という意味になるそうだ。
そう考えると、ドイツのホットコーヒー信奉もなかなかのような気がする。

 そのせいか、ネスプレッソでもアイスと楽しむ前提で売っている感じの言葉がWEBサイトに添えられている。ドイツはアイスクリーム大好き大国なので、アイスコーヒーを純粋に楽しむと言うより、アイスクリームを楽しむためのアイスコーヒーなら許容する、という感じなのだろうか。
いつかもう少しドイツ語が喋れるようになったら、ぜひこのあたりを現地の人に色々聞いてみたい。



 世界中で飲まれているコーヒーだが、意外なところに文化差を発見したのだった。


*おまけ*
書ききれなかったコーヒーカプセルの説明。

こちらはフランス限定カプセル。
JOYEUXというハンディキャップを
持つ方々が働くカフェとのコラボ商品なのだそう。
辻仁成さんの記事に日本語で詳細が書かれていました。


フランスのスーパー「モノプリ」の
プライベートブランドとして出している
コーヒーカプセルも買ってみました。
PB商品にデカフェもあるのが助かる!


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