アメリカでの暮らし 隠と陽の入り混じる異世界都市デトロイト
こんにちは。まーぶるです。
私はアメリカ東部で7年間暮らし、その内デトロイトのあるミシガン州で2016〜19年の3年間を過ごした。
前回のハロウィンの話でデトロイトについて触れたので、ここでもう少し掘り下げたいと思う。
初めに断っておくが、私の同市の印象は決して悪くない。夢かうつつかよくわからない陰と陽の入り混じる異世界都市のような感覚だ。
デトロイトは自動車関係の業種の人が多く、近郊には日本人が多い街もあるので、もしこういう良い所もあるよ!などの体験や意見があれば教えて頂きたいと思う。
デトロイト。全米No.1の治安の悪さで有名な街。
ニューヨークでの生活の後、夫のデトロイト赴任が決まった。日本への直行便がある大きなハブ空港があり、一時帰国がしやすい上、日本総領事館もある大きな街だ。ポジティブに捉えていた。捉えようとしていた。
だが治安の面で不安が襲ってくる。調べても悪いことしか出てこないので調べるのは止めた。映画「8 mile」のように北側は治安が良いらしい。Googleマップやマンションサイトを調べて住む街を決めた。
ところがデトロイトに行ったことがある友人が脅してくる。
「赤信号で停まってはだめだよ。囲まれるよ。」
「デトロイトの低層階住んでいた友人が襲われて、後日また襲われたんだよ。危ないよ!」
赤で停まらないって、どうしたらいいんだ?
平和な地域
引越し後しばらくして、デトロイト市内の夫の勤務先である病院を訪ねた。
病院の外は従業員の宿舎があり、学校では子供たちが校庭で遊んでいる。のどかだ。病院内は清潔で人が多く、好印象。デトロイトの治安の悪さは過去の話なんじゃないかな。なんて思っていると、夫が
「警官が撃たれて運ばれてくるよ。信号機も盗まれるみたい。」
と話してくる。
病院のすぐ隣にスーパーがあり、敷地から外に出てみる。道路がやや荒れた印象はあるが、普通だ。
その後、日本総領事館や同じビル内にあるレストランを何回か訪ねた。とても綺麗なビルで、レストランは着飾った人々が談笑して賑わっている。
ウォーターフロントと呼ばれているこの辺りは比較的治安も良く、高級マンションも多いそう。
デトロイトに住んでも良かったのかな、なんてやはり思ってしまう。
昼に日本総領事館を訪ねたついでに周りを散策。平和そう。SHAKE SHACK(シェイクシャック)というハンバーガーショップを訪ねて車移動をする。その辺りは歩行者が多く、警官もたくさん立っていた。物々しい雰囲気はあるが、そのおかげか街は沢山の人々が普通に行き交う。
異世界都市
ある日、ウォーターフロントから少し離れたデトロイト市内のレストランにディナーで行ってみた。
街は賑わっているお店と廃墟が混在している。廃墟はただの廃墟ではなく、崩れ落ちて焼け跡も見受けられる。とても不気味だ。そんな中を、客がみんなで漕ぎ合って呑みながら街中を移動していくバーの屋台バージョンが通り過ぎていく。若者5〜6人ほどで漕いでいて盛り上がって楽しそうだ。
なんだ、この隠と陽の入り混じる様は…?
戸惑う。夜だとなお一層隠と陽のコントラストが浮かび上がる。ファイナルファンタジー7に似た、異世界空間に迷い込んできた様な感覚だ。
日本総領事館などの入っている安全なビル内、外に出れば治安に不安がある街。そういった背景もなおさらファイナルファンタジーの世界観を彷彿とさせた。
廃墟は焼けてからも何年も放置されている様子で、表通りから一本裏に入るとその数はさらに多くなる。
ニューヨーク在住時に道端で麻薬中毒者のような人を何人も見てきた。そういう人達が潜んでいそうで不気味だ。
デトロイト市内のファーマーズマーケットにも行ってきた。かなり広い範囲で農家が出店していて、周りの道沿いには屋台も沢山出ていて賑やか。それでも一歩出ると廃墟はある。
デトロイトは2013年に破産申請をしたアメリカ最大の都市だ。市の財政難で廃墟の撤去が追いつかないのだろうが、住人は明るい。パワーがあるように思う。頼もしい。ゆっくりでも着実に復興していく日は近いのだろう。私は去ってしまったが、いつも心の中にある。またいつの日かその姿を見に行きたいと思う。
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