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EP02 シャイな人に多様なつながりは必要?


このnoteは2020年6月2日に収録した音声を文字起こししたものです。

こんにちは! ニューヨークから松村亜里です。
今日はポジティブ心理学動画セミナーを受講中の方から質問をいただきましたのでお答えしていきます。

心理学の正解は人それぞれ

その前にお伝えしておきたいのが、心理学の正解としてではなく、一個人の意見として聞いていただきたいということです。心理学っていうのは算数とか物理とかのように人間の外にあるものを客観的に見ているわけじゃなくて、人の中にあるものをみているので、正解はないと私は思っています。

正しいかどうかっていうのは分からないですし、正解は一人一人の中にあるので、その人自身の正解はもしかしたら隣の人とは違うかもしれないですし、それでいいと思っています。全員にとっての正解はなくて正解はそれぞれの中にあるでこれから質問にお答えするときも、1つの考えとしてきてください。

濃いつながりか? 多様なつながりか?

では質問に入っていきます。東京の小児科医の A さんから頂きました。ポジティブ心理学動画セミナーは全8回の動画講義からなり、第6回目の「悪い人間関係を良い人間関係に転換する方法」という講義の中で、「つながりの多様性が大事」という話をしているのですが、それについての質問です。


「つながりの多様性が死亡リスクに一番影響するということは私自身は納得しますが、多様性よりも深さが大切という人もいるのではないでしょうか? 多様な人との付き合いが苦痛な人もいるのではないでしょうか? 男女や年齢でも違いがあるように思います」という内容です。

これについての私の考えを話していきます。

まず、講義中に動画でグラフを示しているのですが、このグラフはたくさんの研究から明らかになった「どの要因が死亡リスクを1番高めているか」ということを示したものです。死亡リスクを高めている要因を、一つ一つ調べて、横断的に統計的に処理するメタアナリシスという方法で研究した結果です。

1番影響力が大きいのがつながりの多様性で0.64くらいです。2つ目がソーシャルサポート(自分を支えてくれる質のよいつながり)で0.63です。よく健康診断で聞かれるようなタバコやアルコールや運動量なども影響していますが、0.3~0.6くらいです。繋がりに比べると確実に影響力が少ないです。

グラフの見方として、0.64と0.63はグラフ上は違いがあるように見えますが、実は大差はなく、つながりが両方とも大切だと思っていただけるといいです(統計にはエラーという考え方があってこのくらいの差はとても小さくて、エラーの可能性があるからです)。

例えば、もう一つなにかの研究が統計に反映されると変わってしまったりします。統計的に優位か優位でないかというと、2つの違いは優位ではないです。ここで大事なのは多様性のあるよいつながりが、タバコやお酒や運動や他の要因よりも重要だということです。もちろん他のことも大事ですが、つながりは疎かにしてはなりません。

実は私、今日2020/6/1までのここ3カ月ほど、何かにとりつかれたように働いていました(笑)。「孤独がいかに人の心身に悪影響を与えるか」をいうことを知っていたからだと思います。またこの研究の前に「1日中座り続けることがどんなに悪いことか」という研究も出ました。コロナで自粛すると、「座り続けるし、人に会わなくなる」という状態になります。

孤独の症状としては、鬱病と一緒なので、抗鬱剤がだされることが多いのですが、本当にその人たちが必要なものは薬じゃなくてつながりなんです。鬱の人がつながりをも持つと回復するんですね。それを知っていたのもあって、Zoomでつながろうと何かにかられるように活動していました。1,051人の方が参加してくださっていろいろな活動をしました。ご協力ありがとうございいました。それが5月の末に終わって家族との時間をとろうと切り替えました。

内向的な人が少しだけ頑張ると……?

もうひとつは性格についてです。人には外交的な人と、内向的な人がいます。
外交的は人は、人との多様な関わりによってエネルギーがチャージされます。内向的なシャイな人は、人との多様な関わりの中でエネルギーを消耗する傾向があります。実は私は内向的な方で、ずっと人といつと疲れてしまいますし、3人とか4人とかの少人数の方がパーティーとかより好きです。

しかし、おもしろいことに、内向的な人でも少し無理をして多様な人と関わることで幸福感が高まるという研究がでているんです。ポイントは「少し」いうことだと思います。自分のコンフォートゾーンよりも少しだけつながりを持とうとしてみるということですね。

ポジティブ心理学は「バランスの科学」と言われています。今までの心理学は病気の人や-3~0の人に焦点を当ててきたから、幸福な人とか0~+3の人も研究もしよう、といった感じですね。ですからこの場合も同じように、濃くて質のいいつながりも大事ですが、多様性も大事なんです。

多様なつながりと濃いつながりの相互作用

多様なつながりと、濃いつながりには別々の役割があります。

濃いつながりは苦しいときに助け合えるし、頼りになります。しかし濃いつながりというのは、価値観が近くて考え方が似ているからこそ濃いわけであって、視野を広げるという役割はあまりありません。

反対に多様なつながりは、新たな発見や新しい世界を見せてくれる人です。人の体は幸せな時には視野が拡張されるんです(瞳孔が広がって見える範囲が広くなるなど)。多様なつながりというのはこれを先にやってくれるんです。視野を広げてからポジティブ感情がやってくるということですね。

また、多様なつながりはネットワークを広げてくれます。例えば、私はパーティーとかが苦手なのですが、5年前に少し頑張って行ってみました。ニューヨークの女性が集うクリスマスパーティーだったのですが、そこでお会いしたのが、現在ロンドンでライターをされている方でした。そこでお会いしたのがきっかけで私の講座を受講してくださって、編集者さんに紹介してくださって、私の本が3冊出版できたというつながりがあるんです。

それまで本を書くなんて無理だと思っていましたが、多様なつながりによって広がったんです。面白いことに、仕事っていうのはほとんどが多様なつながり、緩いつながりから来るそうです。仕事やキャリアがその人にどれだけ大きい影響を及ぼすか考えると、多様なつながりと濃いつながりはどちらも大事ということが分かっていただけると思います。

多様なつながりというのは、ときに濃いつながりのネットワークを広げることもあるのです。濃いつながりというのは辛いときにとても役に立つので、多様なつながりを広げることが、より広いネットワークの中でお互いに助け合うことにつながるのです。

ですので、シャイな人もちょっぴり意識して多様なつながりをもってみてはいかがでしょうか?


今日はこれでおしまいです。素敵な一日をお過ごしください!

※「ニューヨークライフバランス研究所」では、幸せを科学するポジティブ心理学やウェルビーイング研究を日本語で分かりやすく伝える活動をしています。オンラインサロン、講師養成、各種講座やイベント、メディア配信などを行っています。


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