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EP10 うらやましさの正体

このnoteは2021年4月21日に収録した音声を文字起こししたものです。

こんにちは! ニューヨークライフバランス研究所の松村亜里です。
幸せを科学的に研究するポジティブ心理学やウェルビーイングの研究を、ニューヨークから世界中の皆さんにわかりやすく伝えています。

音声配信を始めました

ずっと始めたいと思っていた音声配信。ついに挑戦してみたいと思います。
忙しい皆さんに、耳から何かお役に立つものをお届けできたらと思っています。
応援していただけると嬉しいです。

自己紹介

初回なので簡単に自己紹介をします。
私は母子家庭で育ち、中卒で二十歳を過ぎてから、200万円を貯めてニューヨークへ留学しました。もともと、私はすごく自己肯定感が低かったので、「どうしてこうなったのだろう」という興味から心理学を学びました。最終的には臨床心理学で修士号を取って、ニューヨークの大学で少し働きました。その後に、日本の国際系の大学で、カウンセリングをしたり、心理学を教えたりして10年間勤めました。その大学では、授業が全部英語で留学が必須でした。その上、初年度は留学生と一緒に寮生活なので、すごくストレスが高かったと思います。(学生たちが)心の病気になってからでは遅いなと思って、病気を予防する公衆衛生学というのを学びながら、予防をすごく頑張っていました。多くの大学ではカウンセリングルームがどこにあるか分からないということもあるかもしれませんが、私はいろいろなところに出て行ってワークショップをしたりしていたんですね。

そして、公衆衛生学の博士号を取りました。これから頑張ろうというときに、一緒に日本に来ていたアメリカ人の夫が、「もう日本には住みたくない」とアメリカの大学院へ進みました。(その時子育てをしていたので)2年くらい、ワンオペで頑張ったのですが、子育てが1人では無理とわかり、再びニューヨークへ来ました。今から9年くらい前のことです。

ニューヨークで始めた講座がより多くの人々へ

ニューヨークへ来てからは、キャリアを全部断ったので、すごく落ち込んでいました。しかし「できることからやろう」と思っていました。そこで、周りに異文化の適応に苦労していた駐在員のお母さんやお子さんがいたので、心理学の子育ての講座を始めました。それがすごく好評になり、ニューヨークのいろいろなところから呼んでいただくようになりました。同時期に、ポジティブ心理学という、幸せを科学的に研究する学問をしっかり勉強しました。

私がこれからここでお話することは、
・-3(マイナス3)から0になるための「臨床心理学」や
・0から-3にならないようにする「公衆衛生学」、または
・0から+3(プラス3)もっと幸せに生きるための「ポジティブ心理学」
に基づいています。

人生のいつからでもどの場所にいても、より幸せに生きるヒントみたいなものを、私の知識や経験も含めてお伝え出来たらと思っています。

「ポジティブ心理学」と「ポジティブシンキング」の違い

今日は、「うらやましさの正体」についてお話ししたいなと思います。
まず、ウェルビーイングな状態をWHOでは「病気でないだけではなく」、「心も体も社会的にも健やかな状態」と定義されています。-3から0になることも大事ですし、それだけではなく0から+3を目指そうということです。

よく「ポジティブ心理学」というと「ポジティブシンキング」と間違えられます。ですので、ネガティブな感情を持ってはいけないとか、いつでもポジティブに明るく考えようとかいうことと勘違いされることが多いのですが、そうではありません。「ポジティブ心理学」というのは、ネガティブなことばかりを研究してきたので、幸せになる方法とか、ポジティブな感情についても研究しようとバランスを取るために始まった学問です。なので、これからお話する「うらやましい」という言葉は、少しネガティブな感情なのですが、そういう気持ちもすごく大事にします。
今回のお話は、少しだけ、私独特の見解も入っています。


「うらやましさ」とは

「うらやましさ」ということを考えた時に、見ていてザワザワする、うらやましいなと思う人っていますよね。その時に嫌な気持ちになったり、その人のことが嫌になったり。そういう反応をしてしまうと思います。しかし、それに対して、私はこのように思っています。「うらやましい」や「嫉妬」という感情は、それが欲しいのだけど、その時に真剣に取り組まなかったことに対して起こるということです。または、とても大切でそれを叶える力はあるのだけど、十分にまだ努力していない時に起こると思っています。

私がカウンセリングしていた方で、こんなことがありました。その方は、お友達がバイオリンのコンクールで優勝したか、何かに抜擢されて活躍しているのを聞いて、すごく悔しかったという話をされていました。でも私はそれを聞いても悔しいと思わないのです。バイオリンは全く弾けないですから。彼女が悔しいと思うのは、まずバイオリンというのが彼女にとって大切であり、実力もあるということです。でも今は、住んでいる場所の関係でそれが叶わなかったということです。

別の例でいうと、かわいい子がすごくうらやましいという場合は、たぶんかわいくなりたいのだけど、そのことに対して努力していない時に起こっているのだと思います。そして、その力があるのだなと思います。力がなければ、うらやましいとも思わないし、「へぇ、すごいな」という感じだと思います。

「うらやましさ」の裏に隠れているものとは

私はうらやましいなという気持ちになった時、それは私が本当に欲しているものを知らせてくれているヒントだなと思っています。例えばここ数年、私はお金も時間も自由にして働いている人がすごくうらやましかっのです。その人たちが、悪いことをしている人のように勝手に思っていました。うらやましいという感情を自然に出すと、相手のことを悪く思ってしまいますよね。それは、自分の気持ちを正当化するためです。

しかし、よく考えたら、私もあんなふうになりたかったのかなと思いました。時間、場所、お金、そういうものから自由になって暮らしたかったのです。その「ザワザワ」や「嫌だな、嫌だな」という気持ちになった時に、「あ、私はこれを本当に望んでいたのだな」という気持ちをきちんと認めてあげて、好奇心を持つことです。そうすると手に入るのです。

自分の気持ちを認めてあげる

うらやましいという感情は、望んでいるのに望んでいないフリをしている時に起こるのだと思います。あの人嫌だなと思って見ないフリをしたり、悪口を言ったり、嫌っていたとしたら、本当はそれを望んでいるということを認めてないということです。

嫌な気持ちも、ネガティブな感情も、「私はこれを求めていたのだ」というヒントになると思っています。私の大好きな社会心理学者で、ネガティブな感情を研究しているブレネー・ブラウン博士という方が書いた※『RISING STRONG(ライジング ストロング)』という本があります。最近読んだのですが、博士はネガティブな感情を話す時に、「need to need-それが必要だということを、必要だと思うことが必要だ-」というふうに言っています。ネガティブな感情の裏には自分が本当に欲しているものあって、それにしっかりと気が付いてあげられたら、少しずつそれを解消していけると思います。

ということで、うらやましさの正体とは、自分がその力を持っているのに、まだ十分に努力していない時に起こるということを教えたくれるものです。うらやましいと思ったら、「私は何が欲しいのだろう」「何を望んでいるのだろう」と考え、その気持ちを認めてあげてください。そして、ぜひそれに向けてまっすぐ行動してみてください。

では今日はこれで終わります。

※『立て直す力 RISING STRONG 感情を自覚し、整理し、人生を変える3ステップ』ブレネー・ブラウン著・小川敏子訳/1,870円(税込)/講談社

※「ニューヨークライフバランス研究所」では、幸せを科学するポジティブ心理学やウェルビーイング研究を日本語で分かりやすく伝える活動をしています。オンラインサロン、講師養成、各種講座やイベント、メディア配信などを行っています。

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