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【陽だまり日記】華金キッチンvol2

お高い。
世の中ビッグフライデーだの、ブラックフライデーだのキラキラした言葉が泳ぎ回ってるけれど、野菜もお魚もお肉もお高い。
金曜日、夜のスーパーで喰らう値段高騰の嵐。
世知辛い世の中である。

帰宅後、エプロンを身に着けキッチンに立つ。
もう何もしたくないなあと思う程度には疲労を感じているのに、料理は出来てしまうことに毎回驚く。

買ってきた胸肉の皮を剥いで、ひたすら包丁で叩いてゆく。
「挽き肉がないのなら、胸肉を叩けば良いじゃない。」
そういうことである。
なお、フードプロセッサーが欲しいと言い続けて5年は経過した。ここまで来るとあのハイテクな道具を買わなくても良いような気がしてきた。
 
努力の末に出来上がった粗挽きの鶏挽き肉は、銀のボールへと入れる。そこに玉ねぎの微塵切り、豆腐1/3パック、卵1個、片栗粉適量、塩コショウ少々を入れ、捏ねるように混ぜてゆく。


……料理を黙々としていると、無心になる。
無心になりきれると、美味しいものが出来上がる気がしている。

フライパンに火を絡め、薄く油を引いたところに、丸めた生地を置く。
じゅわわ、と良い音がした。
ひとつ、ふたつ、みっつ。
ジリジリフライ返しで寄せて詰めてよっつめも入れ込む。
暫くしたら蓋をして、その間に洗い物と大根をおろすことに専念。ご飯をよそう頃には油の跳ねる音が変わったので、蓋を開けてひっくり返し再び熱する。


良い塩梅の焼きめがついたら、もう食べ頃。
お皿に盛って付け合わせの野菜を添える。仕上げの大根おろしをかけたら、空腹もピークに達した。

手を合わせ、1週間を労う。
1週間、良く生きました。
まったく、良く生きました、いただきます。

……出来立てを口に運ぶと、さっぱり、むぎゅりとした「美味しい」が溢れた。




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