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ドラクエ史に残る薄命のヒロイン ルナフレアの魅力とその死の秘密①


『処女でありながら勇者を産み、育て、そして一生童貞にした女』

かつてそんなヒロインキャラがドラクエにいただろうか?



ゲームでは居ないかもしれないが、漫画にはいる。

それが『ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章』という漫画に登場するルナフレアというキャラだ。

ちょっと何を言っているのかわからないと思うが、大人になってロトの紋章を改めて読んでみて、ありのままの解釈を話すと、おてんばとかお姉さんとか巨乳とか、そんなチャチなカテゴリでは断じてない。

もっととんでもないヒロインであることをこれを読んでいる人には伝えたい。

ロトの紋章1巻 69ページ

《注意》 一応書いときますがネタバレありです。この記事を書くまで完全版と違いがあることを知らなかったので、旧単行本を元に語っています。


ルナフレアのキャラクターとその魅力

ロトの紋章1巻56ページ

まず具体的にルナフレアがどんなキャラクターか説明しよう。

勇者の血筋の王が収める国、カーメン王国の騎士団長ボルゴイに男手一つで育てられた女騎士、ボルゴイ曰く女らしいことは何もとのことだが、本人から受ける印象は女性らしい奥ゆかしさと言葉使いから育ちの良さが伺える。

親父のことを『お父様』と呼ぶぐらい育ちがいい。

そして剣の腕は男10人相手に勝ってしまうほどの実力者で、魔物にカーメン城が襲われたときには大活躍し、光の指輪を駆使して王に化けていた悪魔デルスを退け、産まれたばかりの主人公アルスを救出する。

赤子の勇者アルスを抱えて魔物と戦う様、父親との今生の別れを覚悟して砂漠を走り去る様はこの作品から壮大なスケールを感じさせるほどだ。

ロトの紋章1巻61ページ

光の指輪を使用した際には、赤子のアルスの力を借りて指輪のパワーを増大させる描写があるのだが、まだ赤子であるアルスを戦闘で活躍させるほどの名脇役なのだ。

そして砂漠で自らの死を覚悟した際にも、最後までアルスのことを想った愛情の強さにファンは心を持っていかれるはずである。

そしてルナフレアは赤子のアルスを救出後、育ての親の1人となり、常にアルスを守ることを自らの信念として生きることになる。

もうアルスにとってはほとんどお母さんのような感じになってしまうのだ。

しかし、ここまでキャラを立たせたにも関わらず、読者の期待を裏切って3巻で死んでしまうのである。しかもたいして縁もゆかりもない通り魔みたいなキャラに殺される。

彼女から無限の活躍の可能性を見出していた読者はとてつもないロスを味わうことになるのだが、

ルナフレアが死んだことによってアルスは魔王軍憎し!!と強く思うことができ、戦い続ける理由になってくるのだ。

ロトの紋章3巻168ページ

しかし、彼女の死が作品の最後まで生かされているのか?と言われると難しい。中途半端なキャラに殺されたせいで、作品の後半はお話をそこまで盛り上げるほどではない。 


11巻でアルスとあの世で再会し、あの世で穏やかに暮らしてるみたいだからいいのかな、、みたいな感じになってファンはある程度心の整理が出来てしまうのだが、どこか別人のようになり寂しく感じる。

ラスボスを倒したからといってルナフレアが生き返るわけではないし、しかも死んだと思われていた彼女の親父はピンピンしている。彼が登場するたびに、ああ、、ルナフレアはなぜ死んだと思わずにはいられなくなる。

そして仲間たちは結婚したり幸せになっているのだが、なぜか主人公は孤独に旅を続けているというラストに旧単行本はなっている。

それ故にやり場のない想いをこの作品から受け取ってしまうのである。
そんなずっと抱えていたやり場のない想いを今ここで解消しているわけです。

聖母マリアとして描かれるルナフレア

ロトの紋章3巻173ページ
聖母子像のように描かれるルナフレアとアルス
ラーミアの紋章を光輪に見立てているのもかっこいい


そんなルナフレアの最大の魅力は、アルスに対す愛情の強さであろう。一度はこんな綺麗なお姉さんに深く愛されてみたいと思わずにはいられない。

そして処女受胎を成した戦うヒロインキャラだということも面白いポイントだ。

つまりイエス(救世主)を庇いながら戦うマリア様なのだが、

上の絵はアルスはルナフレアがセッ○スせずに産んだ子であるという意味合いで描かれていると思う。直接的には産んではいないが、結果的にそうなってしまっているわけだ。

で、処女受胎だなんだとわけわからんこと言いやがってと思うかもしれないが、この作品をよく読めば、イエス・キリストの物語がベースにあることに気がつくはずだ。

旧単行本の1巻から11巻までは、イエスの物語そのものである。


処女から生まれた勇者が聖地アリアハンで処刑され、3日後に復活し人類を救う奇跡を起こす。という話になっているのだ!!

下のような絵を見ると
あ、そっか、やっぱそういう関係だよね。
というのがわかるのだが、、

ラファエロ作『大公の聖母』

私が勝手に処女受胎どうのこうの言っているわけではないのがわかるだろう。

主人公アルスとルナフレアの関係

ロトの紋章2巻141ページ

彼女が死ぬことによって、主人公アルスの行動動機が形作られていくのだが、この2人の関係というのはあまり突っ込んでは描かれない。
(おそらくアルスとの年の差は15歳ぐらいといったところだろう)


少年漫画で勇者ともあろうキャラが、そんな特殊な関係を引きずっているところをあまり見せるわけにはいかなかったのだろう。

さっきの聖母子像を描いたかのような画像のように、わかる人にはわかるようにしか描かれないのだ。


なので、普通に読むと姉的な役割の仲間が亡くなった。ぐらいで済まされるのだが、そんな生優しいものではない。

私はアルスは究極の恋人を失ったと思っている。

母以上に自分を愛し守ってくれる存在でありながら、母ではない。男にとっては究極の恋愛対象な訳である。


いやいや、アルスはまだ子供だし、ルナフレアとは歳が離れてるし、そこまでの関係は妄想しすぎでしょ?と思うかもしれないが、

あなたは実の母親でないええ感じのおねーさんから『私の宝』とまで言われほど愛されていたらどう感じるだろうか?

だいたいアルスと近い年齢のキラがヤオのことをずっと好きだったのである。ならばアルスだって誰かに恋心を持っていても不思議ではない。では誰に対してそう想うかと言えば答えは決まっている。


そして11巻では

宿敵ジャガンに敗れたアルスが臨死体験でルナフレアと三途の川のような場所で出会うのだが、アルスがルナフレアらと共に冥界で暮らすか、それとも現世に戻り魔王軍と戦うかでめちゃめちゃ悩むのである。

ルナフレアの手を握れば冥界へ、握らなければ現世へという

『いいえ』と答えても『はい』を選ばされるような圧はあるが、究極の選択をルナフレアがアルスに迫ってくるのである。

ロトの紋章11巻32ページ

もう女を取るか仕事を取るかみたいな感じなのである。

ここで主人公の究極の選択をルナフレアが選ばせるというのがポイントで、それほどルナフレアがアルスにとって大事なのだということがわかる。


長くなったので続きます。


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