呑んべいに告ぐ、モクテルのすすめ
酒類提供が難しくなり、レストランやバーではノンアルコールワインやモクテルで対応し、ちょっとしたブームになった。各メディアからの当店への取材も多く、皆様の目に触れる機会もあったかもしれません。
ノンアルコールドリンクの市場規模や現状などは他の記事に書きましたが、この記事では呑んべいに私も活用している、ノンアルコールの活用法を伝えられたらと思います。
BARの内側から見る現状
皆さん、BARには何軒目に来るでしょうか?
銀座で働いていた頃は夕方ごろになると、これから出勤されるお姉さんがお店に来て、軽い食事とともに一杯飲んでお仕事に行かれたり、これから銀座の夜を楽しむ方たちが待ち合わせに使ったりと、イタリアのアペリティーボのように粋に使って行く人たちをよく見かけました。
まさに前哨戦なので皆さま元気いっぱいです。
しかし、どうしたってBARの1番忙しい時間は2軒目、3軒目の時間です。夜がふけるにつれて、だんだんとお酒に酔ってくる方が多くなってきます。本当に酔っ払ってくるとチェイサーも飲まなくなってきます。そろそろ怪しいサインです。トイレにこもってしまう方もいれば、フラフラになりながらお帰りになる方もいます。
お酒の席にはこんな格言があります。
「酒には、呑み足りないと呑みすぎたしかない。」
言い得て妙ですが、弱いながらお酒を飲む自分にとってはとても耳が痛い言葉です。
お店で見た意外な事実
ノンアルコール&低アルコール専門BARを開ける前、オーナーと一緒にクラフトカクテルを提供するBARの営業をしていた時でした。
「お酒が弱い人でも呑めるように、ローアルコールのメニューに作ろう」と言われ、メニューのカテゴリーに付け加えました。お酒の弱い女性が好みそうなメニュー構成にしたのですが、いざ営業してみると男性が注文したのです。肌感からすると、ローアルコールを頼む男女比は50:50。深夜近くなってくると、注文が多くなります。
杯数を重ねて、さすがにキツくなってきたが、まだまだ話し足りない。お水だけだと寂しいし、ローアルコールカクテルを頼もう。
おそらく、こんな感じの流れで注文をしてくれたんだと思います。勝手に男性(特にサラリーマン)は頼まないと思っていたので、印象深く、ニーズはしっかりとあるんだなと実感しました。
私のノンアルコール活用法
お酒を飲みはじめた時は、お酒は飲んだら強くなれるという言葉を信じ、吐くまで飲みましたが一向に強くなりませんでした。
今でも特に醸造酒が体質的に合わないのか、ビールやシャンパン一杯で赤くなりますし、レストランに行って泡→白→赤の順番で飲むと赤ワインを飲み始める頃には顔は真っ赤になり、腕は赤を通り越して赤と白のまだらになります。
心臓も自分で振動がわかるくらい波打ち、帰る頃には頭が痛くなりかけます。蒸留酒であればもう少し呑めますが、お酒は弱いです。
普段であれば自分の適量をゆっくり飲んだりしますが、何処か旅先で何軒かまわりたかったり、ついつい楽しくなり杯数が増えてくる状況であれば、そうもいきません。そんな時にオススメなのが、ノンアルコールドリンクです。
レストランでコースを頼む時であれば、最初の一杯だけアルコールで、その後はノンアルコールワインを飲んだり、ペアリングメニューがあるお店ならばノンアルコールペアリングを頼みます。
中には途中でノンアルコールに変更できるレストランもあります。
2軒目にBARに行くなら、以前まではお酒を頼みチェイサーをもらっていましたが、チェイサーを何杯もおかわりするのはどうにも気がひけるのです。
バーテンダー側からすると、なんて事ないのですが、呑めない側はそれはそれで気をつかうのです。
そんな時にオススメな方法が「モクテル」です。今はプロフェッショナルなバーテンダーがいる店ではモクテルが頼みやすい状況になりました。
世界的なトレンドと、緊急事態宣言で酒類が提供できなくなって認知が進んだようです。お酒が提供できなくでもBARでお客様をもてなすホスピタリティや、お客様に提供する本質的なものはお酒ではないと体験して気づかれたようです。
ちょっと酔いが回ってきたらモクテルを頼み、普通のカクテルのように20分、30分かけて飲み、チェイサーも頼みます(これは味をリセットする為)。
カクテル→モクテル→カクテルでもいいですし、カクテル→モクテル→モクテルでも結構です。余裕が出てきて、また呑みたくなればお酒を呑めばいいのです。
レストランやBARを楽しんでいる感は変わりませんし、払う金額だってお酒を飲む人と変わりません。誰にも、自分の身体にも迷惑をかける事が無いのです。
このキツくなったら「モクテル」はとても便利で、最近では、重宝させてもらっています。
お酒を呑む人にこそ、ぜひノンアルコールを活用してもらい、楽しい飲みニケーションにする事をお勧めします!