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【MCバトル】MU-TON vs GOMESS ~最強のADHDと最強のASDのRAPバトル

凱旋MC Battle 西日本ZEPP TOUR

ボクはHIPHOPを聴いたり、MCバトルを観るのが好きで、いつもYouTubeで動画を観あさってるんですが2021/06/21にABEMA HIPHOP【公式】よりアップされたこの動画を観たときに頭のなかにどっかーんと落雷が落ちた。

それがこちらの動画。

MU-TON vs GOMESS【凱旋MC Battle 西日本ZEPP TOUR @横浜】
どちらのMCも超有名で大人気のMC。2人のMCの詳細についてはボクの語彙力では説明しかねるのでプロフィールを引用させていただきました。

GOMESSとは

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GOMESS
​1994年9月4日生まれ 、静岡県出身。第2回高校生ラップ選手権準優勝を機に“自閉症と共に生きるラッパー”として注目を集め、自身の生き様を歌った楽曲「人間失格」、「LIFE」は見る者に衝撃を与えた。以降、NHK Eテレの番組「ハートネットTV:ブレイクスルー File.21」で特集を組まれるなど、独特の思想やライフスタイルが様々なメディアで取り上げられていく。また、中原中也の詩「盲目の秋」を朗読カバーした楽曲は中原中也記念館に展示されたりとポエトリーリーディングでも才能を発揮する。2015年、民謡を唄う朝倉さやとのコラボ楽曲「River Boat Song」を収録したアルバム「River Boat Song -FutureTrax-」が第57回日本レコード大賞企画賞を受賞。同年よりSEKAI NO OWARI主催のライヴイベントに4年連続で出演。2018年、Aqua Timezの楽曲「えにし」に客演参加。2019年、東海テレビの公共キャンペーンCM「見えない障害と生きる。」に楽曲提供&出演し、AACゴールドやギャラクシー賞をはじめ数多くの広告賞を受賞。そして2020年には、山中拓也(THE ORAL CIGARETTES)らと共にプロジェクトバンド・YGNT special collectiveに参加するなど、多種多様な表現を繰り返し、唯一無二の存在として生きた言葉を吐き続けている。
出典:GOMMES OFFICIAL SITE

MU-TONとは

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MU-TON
1995年、福島県白河市生まれのラッパー。 2016年にMCバトル界に彗星の如く現れ、数多くの全国大会で功績を収める。UMB GRAND CHAMPIONSHIP2018での優勝は記憶に新しいであろう。彼の名は瞬く間に全国区に広まり、着実にプロップスを獲得し続けている。2018年12月、待望の1stアルバム『RIPCREAM』を発表し、独特のグルーヴ感溢れる多彩なフロウ、音楽性に富んだライミングで唯一無二なスタイルが高く評価される。2019年、尊敬する日本各地の恩人達と音楽レーベルMVP Recordsを立ち上げ、今後さらに活躍することが期待されるアーティスト。
出典:TuneCore Japan

自閉症と共に生きるラッパーGOMMES

ボクがGOMMESを初めて目にしたのは、当時スカパーにて放送されていた、第2回高校生RAP選手権でした。
自閉症を診断されたMCという紹介ムービーを観て「なんか雰囲気ある人だなぁ」と勝手に思ったのを覚えています。

そしてバトルが始まると高校生とは思えないような言葉の重み、パッションにびっくりしました。彼の生きてきたストーリーから出てくる言葉の強さを感じました。

こちらの動画は精神的に不安定になったGOMMESをたまたま通りかかった呂布カルマが発見し、救いの手を差し伸べるという動画です。

ステージでは輝かしい姿を見せている彼もやはり自分の中でいろいろな困難と闘っているんだと知るきっかけになった動画です。

初めて彼を目にしてから約10年弱の月日が流れ、現在は日本を代表するMCの一人となり、音楽性・パフォーマンス・言葉の力を兼ね備えたGOMMES。
今回最強のMC、MU-TONとバトルで顔を合わせることに。

日本一のラッパーMU-TONの意外な一面

MU-TONを初めて見たのはUMB2016 FINALでした。急に彗星の如く現れ、会場を爆湧きさせてました。

聞き心地の良いフロー、一度聴いたら耳から離れない歌声、漢気溢れるリリック、整ったルックスに、どことなく漂う黒い雰囲気。一目見た瞬間に心を打たれました。

そして二年後にUMB2018で優勝し、正真正銘の日本一のMCに。

バトルに出ればベストバウトを次々生み出すMU-TONですが、よく相手に触れられるのが彼の遅刻癖です。

Twitterで"MU-TON 遅刻"などと検索すると…

もはやあるあるとして誰もが認識している様子のMU-TONの遅刻癖。

普段から30分〜40分の遅刻は当たり前で、ラッパーの大先輩である、紅桜と会う予定の日も遅刻してしまい怒られるという想像するのすら恐ろしい事件もあったそうです。

そんなMU-TONですが今回GOMMESとのバトルで個人的に衝撃の発言がありました。

MU-TON vs GOMESSのバトル内容

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【1バース目】
先攻のMU-TONはバトルビートであるBLAHRMY / Woowahをサンプリングしたフローでいつものように音源レベルのクオリティで会場をロックしていきます。

そんなMU-TONに対抗し、GOMMESもスタイリッシュかつリズミカルなフローで対抗するという意外な展開に。言い回しもGOMMESならではでしっかりと決めていきます。

【2バース目】
そんなGOMMESに対し、
「あれ?言霊に意味乗せる君がGIMMICK、それって無理あるよ」
「こっちは現役で原液」

などとフローで対抗したGOMMESへお前らしくないぞとディスを入れていきます。

それを受けたGOMMESはMU-TONが言った三日天下という言葉の韻を繋ぎ、
「見っかったか?その落としもんは。いつも忘れもんが多そうな目してるからな」となにやら意味ありげな発言をし、MU-TONの先ほどのディスに対し
「フローとかライム、メッセージを分けるそれ自体を変える時代」というGOMMESらしいパンチラインで2バース目をしめくくります。

【3バース目】
個人的にはこの3バース目で事件が起きました。
MU-TONから衝撃的な言葉が。
3バース目はどちらもめちゃかっこいいので頑張って全部文字起こしします。
※間違いなどあったらすみません。

MU-TON
「まぁ、そうだよな…。俺も一緒、
忘れ物が多すぎる。なくしもんも。
でも無駄なものは捨ててきた。
ADHD、このひとつ魅せるテクニック。
遅刻癖…こないだも言った。
今日も一番最後に来て、一番最後に残ってやる遅刻野郎。
HIPHOPってそういうもんだ!Blah Blah Blah!」

GOMMES
「まぁでも一つだけ、一つだけ、遅刻は自業自得だぜ!
まーでもそれはしょうがねえ、だからそんなことで
建前言ってるだけじゃSHOWじゃねえ!YO
俺は情じゃ勝たねえ。だからこの浮上しただけのフローでは終わらねえ。
不夜城になってもしょうがねえ、ふやけてる暇はねえ。
今日二つとない一つ。ひとつ!」

MU-TONがまさかのADHDをカミングアウト。
これにはとても驚きました。
MCバトルということもあり、比喩表現の可能性もなくはないですが、MU-TONの口から出る忘れ物・なくしもの・遅刻癖などは当事者から出た言葉に感じました。

そしてGOMMESのアンサー、
「ひとつだけ。遅刻は自業自得だぜ!」
最初から最後までライムばちばちに硬くて内容も濃く、さらにGOMMESだからこそ言えるこのパンチライン。
このふたりを観ていると、即興でラップしてるんだということを忘れてしまいます。
コメント欄では否定的な意見もありましたが、ボクはこんな人間味のあるドラマのようなバトルを観れて幸せでした。

最後に

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長くなりましたがここまで読んでいただきありがとうございます。
ボクのTwitterやYouTubeを観てくださっている方々はすでにご存じかと思いますが、にゃり助はADHD(注意欠陥多動性障害)ASD(自閉症スペクトラム)という障害を持っています。
当事者から見てこの二人のMCバトルは心の奥底からパワーが湧き出てきて、非常に勇気をもらえるものでした。

MU-TONのカミングアウトにはかなりびっくりしましたが、
実は過去のバトルで彼が放ったパンチラインのなかに、ボクが大好きな言葉がありまして、最後にそれを紹介させてください。

"じょう vs MU-TON" FULL HD ULTIMATE MC BATTLE2017にて、MU-TONが放ったこの言葉。

「俺はひとと同じことができない…
だからひとと違うことができる!」

この言葉がいつまでもずっと自分の心に突き刺さっています。
今まで何度この言葉に救われたことか…
なにかの伏線のようなこの言葉。
ずっと胸に引っかかってましたが今回のバトルをみて、さらに自分にとって大切な言葉になりました。

普段MCバトルに触れることがない方、
普段ADHDやASDなどの発達障害に触れることのなかった人、どちらの方にも新たに知ってもらえるきっかけになると幸いです。

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