小説の断片のようなもの 幼き日の思い出
僕は空を飛んで、雲の中でほほ笑んでいた君の顔を見た。君が死んだのはまだ17歳のころだった。君は、親にされた仕打ちを呪い、すべてのことにつかれていたね。僕だけに打ち明けてくれて、僕は初めて恋人、いや、家族になった気がした。だって、あんなに泣いていた君が、最後の5分だけ笑顔になれたんだから。
今日は君の命日だ。東京から毎年、福岡に帰るのは今の家族には申し訳ないけど、一回も休んだことはないよ。父も母ももう死んでいなくなってしまった。その時も君の命日とはかぶらなかった。多分君はまだ生きていて微笑んでくれているんだ。娘の年は君の年をとっくに追い越してしまったけれど、毎年必ず来るよ。さようなら。
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