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すみっコぐらしでカビが生える

クレーンゲームにハマっている。
決まって一定の金額を投資しないとアームが強くならない、というムカつく仕様の筐体を選ぶ。
なぜか?
一定の金額を投資すれば必ずといってもいいほど確実に取れるからだ。
狙う景品は必ずと言っていいほど決まっている。
「すみっコぐらし」のぬいぐるみだ。

さて、私は36歳の独身男性。
中年に足を踏み入れているといってもいい歳のオッサンである。そしてそのおっさんがすみっコぐらしのファンなのだ。
これだけで虫唾が走る人がいてもおかしくはない。むしろ社会はそうであってほしい(?)。

それにしても、すみっこに生息しているという設定が何とも切なく愛らしいではないか。
自己肯定感が低く、自分なんて…と思っている彼らのその気持ちに共感する人も多いはずだ。

すみは落ち着く。
埃が溜まることを除けば、こんなにも居心地がいい場所はこの世に存在しないだろう。

学生時代から仲間の中心になって何かをやるということが苦手だった。
しかし、ただ真面目というだけの理由で中学・高校の6年間、誰もやりたがらない学級委員長に任命され続けるという苦行を経験した。
いや、むしろその反動で、空気に徹し、隅を愛するような性格になってしまったのではないかとも思う。

中心になってプロジェクトを進めたり、ましてや企業のスタートアップを行えるようなバイタリティ溢れる人を心から尊敬する。
熱量とスタミナ、強い信念がなければ行えないということは想像に難くない。
でもそう思う反面、あまり羨ましくは思わない。
そんな私はこれからも、社会の波に漂うクラゲのような存在でありつづけるのだ。

梅雨の時期。私の心のすみっコにはカビが生えるに違いない。
その時はどうか、カビ取りハイターを吹きかけてほしい。