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社会人をやり切って寿退社した私が、いま働く理由

年末、お世話になっているクライアントと、
「どうして働くのか」「仕事とどう向き合っていきたいか」という議題で
ざっくばらんに話す機会があった。

文章を書くのが好きだからという理由と、幼稚園のお迎えに間に合いたいという気持ちからフリーライターを始めたつもりだった。

でも、話しているうちに、フリーライターを始めた自分の深層心理がつまびらかになっていった。

心身を削って働いた社会人時代

私は、社会人になってから、結構頑張って働いたと思う。

報道記者としてまさに心身を削りながら、早朝から深夜まで仕事をしたし、転職してからも、以前ほどの使命感はなかったけれど、重い荷物を担ぎながらヒールをコツコツ鳴らして外回りもした。

異動して内勤になってからも、上司に「元報道記者のくせにこんなことも知らないの?」なんて嫌みも言われながら、業務をこなした。

気付けば合間で何度も体を壊したし、心も不調を来していたけど、特に転職してからは実家への仕送りや自分の生活にお金が必要だから、辞めたくても生きるために働くしかなかった。

だから、結婚が決まったときは、「やったー!仕事辞める良い機会やん」とさえ思った。「私、社会人やりきったわ」とも。
「今どき寿退社なんて珍しい」と驚かれながらも結婚を機に会社をやめ、ちょうど主人の転勤も決まったので心おきなく引っ越した。

そんな私が、どうして今仕事をしているんだろう?今は専業主婦として生活しても、贅沢せず慎ましく暮らせば生きていけるのに。

自分が稼いだお金で好きなものを買いたいから?

最初に思い浮かんだのが、それでもやっぱりお金のこと。
私は専業主婦時代でも、何か欲しいもの(娘と公園に行きすぎて、スニーカーがボロボロ等々)があったら、独身時代の貯金を切り崩して買っていた。

でも、もう正社員を辞めて6年半。元々物欲はない方だが、通帳には寂しい金額が印字されている。

主人はそれを知っていて、「スニーカー買おうか?」と言ってくれる。でも、人のお金で欲しいものを買ってもらうとなると「申し訳ないな・・・」という気持ちが生まれて、思っていたものより少しだけ安いものを選んでしまう。私が勝手に遠慮しているのだけれど・・・。

私の働く理由は、自分で頑張って得たお金で、遠慮なく欲しいものを買いたいから。その喜びは、働いていた頃何度も味わった。

うーん、でもそれだけではない。まだある、私がいま働く理由。

娘の初めての登園日に感じたこと

次に思い浮かんだのが、娘が初めて登園した日のこと。

「ほぼ4年ぶりの一人時間やん!やったー!」と浮かれまくり、一人で近所の本屋さんに行って好きなだけ本を物色して、カフェでゆっくりコーヒーを飲んだ。

ウインドウショッピングも少しして、スーパーでは見たい商品だけを見れた。控えめに言っても最高だった。

でも、あれほど思い焦がれていた一人時間だったのに、一日でやりきってしまった。

「え、明日から一人でなにしよう・・・」

その後、録りだめしていたドラマを見尽くして、一人時間は三日で飽きた。
家事や自分時間を充実させている専業主婦のママ友もたくさんいる。だけど、私の幸せの形はこれじゃないなと思った。

私の母の話

私の母は専業主婦だった。私や妹が幼稚園や学校から帰宅したときに、笑顔で「おかえり」と言って迎えたかったからと話している。

「外で何か嫌なことがあっても、帰ってきた時の表情ですぐに気付いてあげられるでしょ」と母は言っていた。いつもの「おかえり」は、母の愛情そのもものだったんだと思うと、感謝してもしきれない。

でも、今は母は実家でひとり。今まで私たちの育児ばかりで特段趣味もなければ、仕事もしていなかった。誰かとのつながりもほとんどない。たまにスーパーに買い物に行くくらいで、あとは家でテレビや新聞を眺めている。

今、私と妹が幸せなら「自分も幸せだ」と母はいう。でも、娘としては、一人実家にいる母のことはとっても心配だ。

趣味や仕事をする時間も取れなかったのは、私たちに手がかかったせいだろう。そんな中で勝手かもしれないけど、娘として、母には毎日を活き活きと楽しんで欲しいし、自分の人生を謳歌してほしいなぁと思う。

人とのつながりを持つとか、何か楽しい活動をするだけが幸せじゃない。人の幸せは、人それぞれだ。分かっているけど、母は今一人で毎日を楽しんでいるのかな?

そう思い返すと、私も母と同じように、娘の帰りを笑顔で毎日迎えたい。そして、娘がいつか巣立った後も、私は私の人生を楽しんでいたいと考えていることに気付いた。

人生を楽しむために私は働く

今私は、ライターをしている。
書くことが好きで、遠慮なく使えるお金が欲しいから。
そして、今を楽しむのはもちろん、娘が巣立った後も、知識やスキルや人間関係といった「人生を楽しむ土台」を作るために仕事をしている。

ただ、「生きるために」ではなく「人生を楽しむために」仕事ができるのは、主人が仕事を頑張って家計を支えているから。私も生きるために必死で仕事をしていた頃があるからこそ、そこは感謝しなければ。

そして、娘の帰りを毎日笑顔で迎えられるように、在宅でフリーランスとして活動している。

いつか、あわよくば、私が楽しく仕事をしている姿を見て、娘が「働くって面白そう!」と思ってくれたらいいなぁと思う。そんな背中を、これからも見せていけたら良いな。




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