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「月」を手にして(DAY28)
積読本を横目にしながら、今週末はこの本を手にしてしまいました。
ニッポンに巣くう底知れぬ差別。良識をきどった悪意。“浄化”と排除の欲動―「にんげん」現象の今日的破綻と狂気を正視し、この世に蠢く殺意と愛の相克を活写。かつてだれも試みたことのない、“語られたくない事実”への小説の挑戦!“存在と無”の究極を照らしぬく560枚!
「胸がえぐられる」。
これが、正直な感想です。
誰かのことを脳裏に思い描くとき。
表面に現れる言動や、せいぜい常日頃考えていそうなコトが浮かぶ程度ではないだろうか。
もしも、そんな浅瀬のようなイメージから潜って、
意識からずっと沈んだ、本人たちでさえ気づいていない深淵に触れることができたなら、
そこにはどんな叫びや祈りが渦巻いているのだろうか。
そんな、後ろめたい渇きを覚えるような作品でした。
著者は人を信じたいからこそ、こんなにも繊細でさらけ出した文章を書かれたのかなあと。
勉強会直前に読み終わってしまい、
半ば放心した状態で勉強会に参加しました。
(変なリキミがなくなって良かったのかも知れませんが・・・)
何か大切な用事がある前後には読まないほうがいいかも知れません。
内容の是非は置いておいて、
私もこんな、覚悟の定まった文書が書けるようになりたいです。