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ロミオとジュリエットとぼく

あれは中学2年生のとき。
ひとつ前の席の女の子のLINEプロフィールが「恋って言うから」と書かれたポエムに変わり、後ろの席の男子のプロフィールが「愛に来た」に変わった。
僕たち3人は窓際の最後列の席だった。授業中、2人はよくカーテンの中に入って見つめ合った。

心理学には「ロミオとジュリエット効果」と呼ばれる現象があって、これは恋仲のあいだに障害があるほうが恋愛のボルテージが上がるというものらしい。
障害になるのは一般的に親の反対が多いだろう。
僕は気づかぬ内に障害となって、半径2メートルにロミオとジュリエット効果を生み出していた。
2人が付き合っていると気付いたのは、もうすぐ席替えが来るという頃。隣の席の友達が僕に教えてくれたのだ。
「なんで気付かんねん。見たら分かるやろ」
彼は呆れていた。

2人はしばらくして別れた。席替えが行われたあと比較的すぐ、四季がひとつも変わらぬうちに。
やはり効果は本物らしい。


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