久しぶりの発達外来
先日、ASD長男の発達外来に行ってきた。「そういうところ」に行くのはおよそ4年ぶりである。
結論から書くと、特に何があったわけでもなかった。
結局のところ初回は問診だけで、WISCは5ヶ月後だという。その場でWISCをやるのだとばかり思っていたので拍子抜けした。私は持参した教室の画像を見せて懸命に説明した。長男の机だけが山盛りの工作物で溢れている。授業も受けずずっと工作をして、テストは0点を取ってくるのだ。移動教室にも運動会にも参加せず平然としているのだ──と。小児科医の先生は診察の中で時折首を傾げるような、不思議そうな表情をしていた。話すうちに私の中でいつもの不安が込み上げる。
「長男の特性をわかってもらえのではないか」「大したことないのに騒いでいる母親と思われるんじゃないか」……
長男はけろりとした様子で質問に淡々と答えていた。考えてみれば、長男には側から見て「病的なほどおかしい」様子はないのだ。明るくて社交的、勉強はできないが頭は回るし知的好奇心旺盛。妙に堂々としている。じゃあ一体何に困っているの?と言われると一瞬説明に困ってしまう。しかし、私も夫も担任も、本当に困っているのだ。診察の後半、医師はポツリとこうつぶやいた。「何だか極端ですね」ええ、ええ。そうです。極端です。できるところとできないところの差が激しくて、それで大変なんです……
診察と診察の合間のちょっとした待ち時間で長男の電池が切れ、椅子の上でぐにゃぐにゃと奇妙なポーズを取っていたが、もう放っておいた。先ほどの小児科医が通りがかり、そんな長男の姿を一瞬見つめていたのが印象的だった。
あれやこれやと質問、ADHDに関するチェック表などを書かされ、結局それで終了。あまり達成感は得られないまま次回の予約をとってその日は終わった。ともかくWISCを受けて進展があることを願いたい。
午後の診察枠なので大病院の外来待合室はほとんど患者がおらず、私たちはガラガラの席に座ってぼんやりしていた。売店でお菓子を買い、バスを待つ。
それにしても、山奥の寂しい場所にある病院だ。
私は山奥の病院が嫌いである。
次男が0歳の時に入院した大きな小児専門医院も山奥だったし、長男が数ヶ月通って辞めてしまった療育も山奥だった。母が入院していた閉鎖病棟も山奥だ。大きな病院は立地の関係でそういう場所になりがちなんだろうか。病院の周りが閑散としていて、道路はトラックばかりが通って、とても寂しい。
帰りに駅前のパン屋に寄ってパンをいくつか買い込んだら、長男が突然青ざめた。「Suicaがない!」
……。
待合でぐにゃぐにゃ変な格好をしているときに落とした可能性が高い。
しかし、病院まで行くにはバスに乗らなければいけないし、次の診察は1ヶ月以上後だ。次は絶対に無くさないように、と強めに言って切符で乗車。
帰宅。
──疲れた。
たったこれしきのことが本当に堪えた。
もっと近所で診てもらいたいなあ。
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