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博士研究員(ポスドク)のポストを得る面接時の質問


イントロダクション

 欧米では博士課程への入学、博士研究員(ポスドク)として雇われるには通常、面接が行われます(実施のない場合もある)。私の所属(ケンブリッジ大学医学部MRC疫学ユニット)では3人の研究者が面接官として面接し応募しているポジションにその人物を入学させる、あるいは雇用するかを判断します。
 
私も面接を受けて雇用に至った経緯があります。その際には気づかなかったのですが、その面接内容はかなり標準化されているもののようです。つまり複数の候補者に対してなるべく統一された質疑応答がなされるように配慮されています。イギリスでは雇用の際の公平性・平等性が担保されるよう指針が設けられているので、それに対応しているのかと思います。
 
現職にて私も面接する側になることもあり、その内情を知るに至りました。ですのでその面接の際に標準化の一端として用意される質問の内容を紹介したいと思います。おそらくインターネットで、『研究関係のポジションに応募したときの面接ではどんなことが尋ねられるか』とか検索したら出てくる内容でしょう。特に新規性は無く無難な内容というところでしょうか。またこのNoteでは私の所属に特定のものにならないよう一般化しました。頭の体操というレベルで参考にしてもらえたら幸いです。  

ちなみにこうしたインタビューの前には履歴書や志望動機等記した文書が提出されます。

1.   動機や研究の経験

  • なぜこのポストに興味をもったのか。

  • これまでの研究の紹介ともっとも有意義だったこと、困難に感じたことは何ですか。

  • これまでの研究生活で集中できたこと、敬遠したいと思ったことは何ですか。

2.これまでの経験・スキルについて

  • 今回のポストにもっとも関係のある、強みとなるあなたの知識・スキルは何ですか。

  • 今回のポストの研究領域でよく問題となる科学的な事柄は何ですか。あなたはどう対処してきましたか。

  • 私たちの行ってきた研究、研究論文で特に興味をもったものは何ですか。 

3.研究論文の執筆・発表について

  • これまで論文を書く際に重要だと感じた事柄はなですか。その執筆のプロセスでどんな学びを得ましたか。

  • これまでのプレゼンテーションでうまくいったもの、あるいはうまくいかなかったものの例をあげてください。それらからどんな学びを得ましたか。

4.その他

  • あなたの強み、弱みはなんですか。

  • これまで所属した研究機関、研究グループで、チームワークがよく機能したと感じたことは何ですか。

  • これまで一緒に研究してきた中で共同研究者や指導教官と意見の相違があったことはありましたか。その際にはどのように対応しましたか。

  • 今回のポストを通じて研究生活を続け、その後の5年間、10年間のヴィジョンを教えてください。

5.終了後

  • 何か質問はありますか。

おしまい

以上です。上記の質問を事前に用意して、3人の面接官それぞれが何を聞くか決めておいて面接を実施します。こうした質問に限らず、やはり質疑応答でどんなことが聞かれても対応できるよう準備、練習しておくのがよいでしょうね。

(面接に関して別途、Noteを設けてもよい気がしますが)偉大な業績をもって完璧な答えを用意したいのはごもっともなのですが、面接において重要なのは(あぁ、この人と仕事したいな。この人がいると組織・チームにとって良いだろうな。)と思わせることです。笑顔や姿勢であったり丁寧な言葉遣い、謙虚さであったりそういった点も重要になるでしょう。その人柄が余裕をもって出るように、準備するという上でも上記のような質問を反芻させておくのはよいだろうなと思います。
 
今回の内容は第35回日本疫学会総会のサテライトセミナーにおいて私が海外留学について話をした機会があり、それを受けて整理した内容になります。参考になれば嬉しいです。


画像は https://pixabay.com/ から

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