その⑫『パンチアウト‼︎』と『マイクタイソン・パンチアウト!!』
この2つのゲームは筆者が小学校五年生か六年生のころ、ゲームセンターで人気だったタイトル(『パンチアウト‼』)がそれぞれファミコンに移植されたものである。あるとき小学校で友達が、「バーリボ―、バーリボ―! アパーカ! アパーカ!」などと嬉しそうに叫んでいた(のちに「ボディーブロー」と「アッパーカット」の意だと判明)。何やらゲームのことらしいとのことで、珍しくゲームセンターをのぞいた記憶がある。そこには大きなキャラクターが表情豊かに、パンチを打ち込んでくる姿があった。
そう、『パンチアウト!!』シリーズは任天堂のボクシングゲームである。筆者はスポーツが嫌いであった。しかし、このゲームはむしろリアクション芸。どついたら(殴ったら)、どんな反応するんやろ??? それに、レフリーはしゃべる!「赤コーナー~! ロッキー~熊五郎~~~!!!」。だが筆者にとって、プレイの機会はまだ先であった。
その後ディスクシステムでの懸賞賞品として、『パンチアウト‼』はファミコンに移植された。ワクワクしたけれど、はずれた。さらにのち、筆者が中学三年のときに発売された製品版が『マイクタイソン・パンチアウト‼』である。今度こそ!! レフリーこそあまりしゃべらないものの、筆者は夢中でやりこみ、何とかラスボスのマイク・タイソンを倒した。タイソン氏に勝ったのである。
そこまでは良かったのだが、ほんの数日前になってガクゼンとした。ニンテンドースイッチにダウンロードしたアーケード版『パンチアウト‼』をプレイしてみると……勝てない。雑魚に一勝すらできない。このゲームはタイミングがすべて。ファミコン版のタイミングが、あまりにも激しく筆者の脳と指に刻み込まれてしまっていたのだ(Wii 版は、ハードが壊れてできなかった)。
「おのれ、グラス・ジョーーーッ(一戦目のザコ敵キャラ名)!!!」
こんなセリフを深夜二時に叫ぶ、ひとり暮らしの中年。かわいそうだから、みんな大目に見てあげようね!(知るかッ!)