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ある心象風景⑨「青き深林」

私は、真っ暗闇の中を落ちて行きました……。下には、地面が有りました。不思議なことに、光も無いのに、大きな暗闇の下の地面一帯に咲き乱れた花が、私にはまるで白昼の下で花を見ているように、はっきりと見えるのでした。そこには、花以外、何も有りませんでした。いや、地面があるのでしょうが、花に隠れているのか、私には全く見えませんでした。どうしてこんな所へ来たんだろうと、私は落ちてきた時のまま、咲き乱れた花の上に腰を下ろしたまま、あたりを見渡しました。花は周り一面咲いているのに、あまり遠くまで見えませんでした。いや遠くに花がないというわけではなく、きっと歩いて行けばもっとたくさんの花が見えるのでしょうが、地平線のむこうに隠れてしまったという具合に、見ることはできませんでした。と、花の上に、一匹の蝶を見つけました。おや、お前もここにいるのかい、とじっとその蝶を見つめました。が、私が少し目をはなしたすきに、蝶はもうそこにはいませんでした。

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