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「翻訳練習雑記帳」

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翻訳練習、英語学習で気づいたことをシェアできればと思います。
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2023年8月の記事一覧

語学学習の効用について

はじめに 英語の学習は昔から日本で必修であり、近年は小学校でも教えるようになった。筆者は英語だけにこだわる必要はないと考えるが、それにしても何のための語学学習だと捉えられているのだろうか。試験や資格のための学習を除いても、多くの人は「ペラペラ話せればカッコいい」と考えるのではないか。だがそれは難易度も高く、できるようになる人は(いることはいるが)一握りではないかと思う。留学をすれば話せるようになる、というのも幻想である。才能がある人は日本での学習でも話せるようになるだろうし

「障害」という訳語②

①のほうでは「障害」という訳語について私見を述べた。今回は主に表記について述べたい。前回は訳語ごと検討しなおすことを提案したが、もう少し色々な意見を補足しようと思う。 まず友人の障害者の方から、こういう意見をいただいた。「障害という言葉にこだわっても、無駄だと思う。他の言葉に置き換わっても、どうせその言葉で差別されるから」とのこと。なるほど言葉はラベルにすぎないので本質を変えるものではなく、貼り替えても無駄だという意見である。だが筆者はこう思う。「悪魔ちゃん命名騒動」はなぜ

「障害」という訳語①

DSMー5TR(アメリカの精神医学診断マニュアル  第5版テキスト改訂版)の日本語版が出版され、国内で用いられる精神疾患の名称を改めようという動きがある。だが一方で、慎重な意見もあるようだ。筆者の知己にも心の病を持つ人がいるが、「◯◯障害」という病名により周囲からあらぬ誤解を受けたり、あるいは本人も自分自身を貶めたりと不必要に苦しんでいることがあった。「障害」は、「障り」と「害」だ。嫌がる当事者たちがいるのは当然である。この「障害」という表現が使われなくなるのは好ましいが、こ

『生地451』より(『華氏451』パロディ)

月曜日はアンパンを焼く。火曜日はトースト、水曜日はウィンナー・パン、金曜日はフォカッチャ、土日は食パンとサンドイッチ。生地をパンにして、そのパンを食べ尽くす。それが僕らパン好きのモットーだ。

「英語帝国主義」の話

英語は世界80カ国以上で話され、「国際共通語」とまで言われている。グローバリゼーションも世を席巻している。筆者が異文化理解の切り口として学んだのも英語であったが、「英語帝国主義」という考え方をご存知だろうか。英語がこれだけ普及するにはそれなりの理由があったわけで、それを「歴史の闇」と呼ぶかどうか? 以下を読んで、各自でご判断ください。 平田雅博『英語の帝国  ある島国の1500年史』(講談社・2016年)からごく簡単に要約してみよう。英語はイギリス(イングランド・ウェールズ