シーズンオフだからこそ出来る野球人の過ごし方
全日本社会人野球選手権、明治神宮野球大会が終わればいよいよ公式大会と呼ばれるものは多くが終了する。
ここから来年に向けて選手の多くは動き出すのだろう。野球における今年はほとんど終わったといってもいい。
そのために野球ファンは大半が「野球ロス」を経験することになる。
明日から野球が観れない、とトホホとなる人がほとんどだ。まるでサザエさんシンドロームのようすらある。まだストーブリーグがあるために心穏やかではない、という人も少なからずいるだろうが、それでも2月までは多くの報道機関が流すことを耳にするしかない。
意外と野球ロスは重い。
そう思えたのでオフの過ごし方を少し書き並べようと思う。
何かの助けになればいいが。
1,記録の整理
オフになると野球関連であわただしくなる人がいる。
それは野球の記録を扱う人々だ。多くの人々が成績やメモ程度であった記録を掘り起こし、一つの文章やグラフとしてまとめていく。
それこそこれは多岐にわたり、スコアブックを整理したり、なかなか表立たない記録の整理を行ったりする。たまに「過去〇〇の記録があったのは」と出るのは夙にこの時期に記録関連を必死に整理しているプロアマ問わぬ多くの記録を扱う人々によって成り立っているのだ。
オフの記録を整理することで今年あった多くの、それこそ枝葉些末に至るまでの記録を来年に残し、また起こりうる多くの記録を待つ準備をしていくのだ。
そうでなくてもオフシーズンだからこそ過去の選手の成績を確認したりすることもできる。
それは日本のみならず海外、プロのみならずアマチュア、と実績をまとめるチャンスが多く訪れる。そこで整理した記録から思わぬ話が生まれてくるのがこれの面白いところだ。
フォロワーの一人は高校野球の記録整理から一定の法則を見出し、それが理論として形成できないかとスコアブックをさらに増やしている。
このように「オフシーズンだから」こそ忙しくなる人々が多くいる。
プロ野球などは毎年ベースボールレコードブックを出しているので、これを買って記録のあれやこれやを話しながらオフシーズンを過ごすのも面白い。
2,野球史探訪
これは私もよくやっている。
オフシーズンを利用して多くの史跡や書籍を読み漁り、見聞のあれこれを深めていくのだ。
プロ野球一つにとっても別に日本に紀元前からあったわけではない。
1872年にホーレス・ウィルソンが野球を伝来してから多くのことが起きた。それは中央から地方に至るまで、である。
だから野球の記憶というのは掘り起こされていないだけで多くが郷土の歴史と共に埋もれているのだ。
それを拾い集めてみてもいい。
ある人は図書館へ繰り出し郷土史を掘り下げてもいい。ある人は書籍に書かれたものを面白くまとめてみてもいい。
自分の地域から出たプロ野球選手を追いかけてみるのもいい。
思わぬところからプロ野球選手が身近であることを知るきっかけがあったりする。また土地によっては社会人野球チームがあった形跡が残されていたりする。それを調べてみるのもいい。
昔あった球場跡をめぐり、現在との姿を見比べてみてもいい。東京周辺、大阪周辺はそう言ったものも多いが、戦前戦後で生まれては消えた球場なども多い。
それを地域の郷土資料から掘り当ててみてもいい。
そこで発見した多くの事実は自分と野球の密接なつながりを感じることができるだろう。
選手の書いた自伝などを読んでみてもいい。
本人が書いたか否かはあるにせよ、多くの選手やライターが残した軌跡は多くの含蓄に富み、来シーズンから見る野球の輪郭をもっとはっきりさせることができる。
私も野球を深く見ようとするきっかけは江夏豊、小林繫といった阪神の投手が残してきた書籍であった。彼らの投げる姿は見たことはない。しかし彼らの残した言葉は明らかに私の野球観を変えている。
過去あった事実の真実といったものを追いかけてみるのもいいが、なぜこうしたのか、彼が投げる時何を考えていたのか、何を根拠にしていたのか。
こういったことをしっかり読み進めることも意味のあることだ。
現在は多くの統計学も発達し、日夜野球論の考証が行われているが知識だけでは足りない。現場の経験と練り合わせて一つの答えを見つけていかなければならない。
そういう時に現場の声は強い理由になっていく。それを練っていく作業をしてみてもい。
3,実際にやってみる
野球観戦などがメインになってしまい、野球そのものをやったことがない層がいるというのは今更いう必要はない。それもまた一つのあり方だ。
しかし野球の楽しさや難しさを経験したか否かで野球を観るとまた違った感想が生まれる。
プロ野球ではさもありなんがごとく140km/hを出し、120m以上ボールをバットで飛ばす。そしてその結果に一喜一憂するのだが、それがいかに才能に恵まれたものが積み重ねた努力によって作られた世界なのか、ということを頭の片隅に置くか否かでプロ野球という世界の異常さに気付かされるのだ。
一度でもグローブに触れてみたり、バットを持ってみる。
バットなどは全身運動になるからちょっとしたシェイプアップにも効果的だ。かの松井秀喜でも現役引退後は運動不足解消のために素振りをしていたことを書籍で残している。
ボールやバットを持って、知り合いに声をかけてみてもいい。
都会ではやれる場所も限られてくるが田舎になってくるとそういう場所も多い。
プロ野球や社会人野球のなすべきことの一つに野球の普及がある。
ナショナル・パスタイムとして機能しつつある現在では寂れた言葉だがこれは社会の中でスポーツを行うことの至上命題として外れたことはない。スポーツを知ってもらえなければ彼らの価値はない。
遊びにするか仕事にするか、は彼らがどう社会の中でそのスポーツを振興していくかが重要なのだ。
もちろん彼らのためにチケット代を支払い、グッズを買うのも貢献であるのだが、同じくらいにグラブ、バットを買うのもプロ野球や社会人野球への貢献でもあるのだ。
もちろん高いものが多い。
しかしいわゆる選手モデルと呼ばれるものは半分ファンアイテム的な要素もあり、買いやすいものも多い。軟式になると猶更だ。
【2023モデル】SSK プロエッジ 軟式 木製バット 84cm 800g 岡本 G25KO 坂本 G6HS EBB4002W 軟式用 バット 軟式バット 軟式野球 草野球 一般 大人 M号球 あす楽
ラディアント 軟式用 グラブ 野茂モデル HN-07SP 投手用(ピッチャー用) 右投用
野球好きと名乗るならこういったものは一個持っていても損はない。
私も軟式ながらバットとグラブくらいは持ち合わせている。(玉澤、アシックスローリングス、玉澤小次郎など)
こういったものを使ってぜひ野球ならずともキャッチボールなどで楽しんでもらいたい。よくわからなくてもその選手がプロモデルを出していたらファンアイテムとして買ってもいい。
野球用具を買い、それで野球を楽しむ。
それも立派な野球への貢献であり、オフシーズンだからこそ楽しめる要素の一つでもあるのだ。
4,終わりに変えて
多くの野球が止まるからといって野球を止める必要はない。
生活の中で野球が時間の多くを占めるのなら、それを使って違うことをしてもいいし、野球に関わるなにかをやってみてもいい。
どの世界も今まで以上に自分の中にある野球を深めるきっかけになるはずだ。
私もオフシーズンになると多くの書籍を読み漁っている。自伝から記録、ネタ本に暴露本と枚挙にいとまがない。
そうやって現在の私がある。一朝一夕にしてなっていないし、その原動力はどこにあったかといえばやはり野球が好きという気持ち意外にない。時間をどう工面するか、くらいしか問題がない。
だからこそ「オフシーズンでの野球の過ごし方」をいろいろ模索してほしいものである。