「起きろ外道」ー夢見る機械は白昼夢と現実を判別できるのかー
ー起きろ外道ー
歌い出しで現実に戻らなければならないことを思い知らされる。
会然TREK2K20▼02 大阪公演に参戦してきた。
前日に行われた公演の無料配信を、勤務中の仮眠時間でざっとみして予習をして行ったとはいえ、本物はやはり全然違う。
ソロ曲で構成されるということは知らされていたホール公演ではあったが、その荘厳さに約1時間半の公演の間、言葉が出ないほどの衝撃だった。
公演が両日とも終わったので、まずはセットリストを。
会然TREK2K20▼02 (2/23)
⒈電光浴ー再起動ー
⒉世界タービン
⒊狙撃手
⒋アディオス
⒌現象の花の秘密
⒍祖父なる風
⒎デューン
⒏異種を誇る「時」
⒐生まれなかった都市
⒑パレード
11.庭師KING
12.Caravan
13.Σ星のシダ
14.Ride the Blue Limbo
15.救済の技法
16.QUIT
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17.夢の島思念公園
18.Wi-Siwi
出だしから、殴られたような衝撃。セグウェイに乗りギターをかけ、伸びやかな声で出てくる。みんな初見だろうが、もう何を見ているのか理解できない。
舞台セットも素晴らしい。記憶が正しければ、この公演から舞台美術を完全に信頼できるスタッフに任せるやに聞いていたが、すべてのものの配置が、絶妙。どこか異次元に繋がっているようで、全てが必然。そう然るべくあるように。
ここのところずっと聴き続けてきた狙撃手が、ライブで聴くことができたことにも感動したが、すべての曲のつながりが説得力がある感じで、あぁこの日のために来て良かったと思いっぱなし。
何より衝撃だったのが、ラストのQUIT。
繰り返される最後のメロディーで去る平沢御大。残された会人。その会人も電気を消すが如く仕草の後舞台を去った。残されたのは、観客と薄暗い中でも音を奏でる舞台中央のテスラコイル。
これは現実なんだろうか。無機物のテスラコイルが意志を持ったようだった。
そもそも無機物に意志がないなどと誰が言った。
夢も現実も、全ては意志によって選び取り、そこにある。
無機であれ有機であれ、その寿命の中で、選び取ったものが真実。
言葉では象れない没入感がら冷めないまま、アンコール前のMCに入り、少し現実感が戻ったところで、テレビアニメ『妄想代理人』のオープニングだった夢の島思念公園が始まる。なんという伸びやかな声。心が洗われるような。
このテンションのまま幸せな終焉を迎えるために、明るめな曲が来るかと思いきや、ラストはWi-Siwi。
「起きろ外道」
歌い出しで一気に引き戻された。怯えるほど、震え上がるほどの愛を届けられた観客は、この公演にそれぞれ何を感じて帰路に着いたのか。
少なくとも私は、この夢でも現実でも、象る全てのものを、しっかりと選んで行きたいと感じた。夢だって、現実だって、全て私のものだ。残されたテスラコイルを見つめる中で、水槽の中の脳の思考実験を思い出していたのだが、仮にこれが水槽の中の脳だって、夢を見てる機械だっていい。
自らの意志で選んだものが、それなのだから。
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