外国人患者への対応
2017(H29)年に日本を訪れた外国人観光客は2,800万人を超え、2020年に向けてさらなる増加が見込まれています。訪日中に病院を訪れる外国人患者も増加しており、医療機関の対応にもグローバル化が求められています (日本政府観光局[JNTO]、訪日外客数2017より)
外国人患者への対応
①倫理的配慮を行い、差別・偏見のない対応、および看護を行う。宗教・文化・風俗・習慣などを可能な限り尊重し、治療や日常生活などに際し文化的制限がある場合は、医師に治療方針を確認し、文化的制限に配慮した対応について関連部門と検討する
②言語的コミュニケーションを図る上では相手の言葉に傾聴し、必要に応じて外国語医療支援(医療通訳のボランティア、多言語補助資料)なども活用する
※異文化看護とは…
アメリカの看護学者レイニンガーは「異文化看護は、看護者が自分自身をグローバルなヘルスケアの提供者、そして地球の市民としてみることである」と提唱している。異文化の理解能力には、異文化リテラシーと異文化間トレランスがある。
1)異文化リテラシー
リテラシーとは、読み書きなどの基礎的能力や、その応用力のことである。異文化リテラシーは、言語、歴史、習慣、風習、宗教から価値観まで、自分の文化と異なる文化とを比較し、理解し、評価する能力を指す。自分の文化を理解していなければ、異文化と比較することもできなければ、普遍性や異文化性を評価することもできない
2)異文化間トレランス
自らの文化や価値観とは異なる文化を受け入れる能力。他者や異なる文化を受け入れるためには、豊かな寛容性(トレランス)が必要である。
外国人患者に対する看護
●日本と海外では、保険医療制度や福祉制度が異なっていることが多いため、必要な援助が受けられるよう情報提供することも看護師の役割である。
●日本語を十分に理解できない外国人患者とコミュニケーションをとるためには、通訳のボランティアなどの社会資源を活用する。
●文化的に食してはいけないものがある外国人患者に対しては、一方的に病院のルールを押し付けるのではなく、文化的配慮をしたうえで、よりよい解決法を探る。
●国民健康保険証をもつ外国人患者には、医療費が国民健康保険の適応であることを説明する。
●外国人患者の場合、受診前に健康保険や母国の保険、旅行保険への加入の有無を確認する。
★外国人に対する看護において、医療者は国籍や出身地、宗教などを問わず、平等に看護を提供しなければならない。
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第107回 午前56
産科外来を初めて受診した妊婦。夫婦ともに外国籍で、日本の在留資格を取得している。この妊婦への説明で正しいのはどれか
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出典・参考文献
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