心がほぐれる瞬間
ナース刺繍は刺繍家として活動しておりますが、ふだんは看護師として脳神経内科で勤務しております。
ある日、検査を受ける患者さんに靴を脱いで台の上に横になっていただくよう伝えたところ、それまでシャキシャキと受け答えをしていた患者さんが肩をすくめるようにして言いました。
「ちょっと靴下に穴が空いてて…靴を脱ぐなんて思わなくて…。」
「あ、大丈夫ですよ。私もですから。」
と、私がサンダルを脱いで自分の靴下の穴を見せるようにすると患者さんは笑ってくれました。
その日たまたま不運にも患者さんの靴下には穴が空いていて、たまたま幸運にも私の靴下には穴が空いていた、ということになります。
正直言いますと患者さんが緊張して診察や検査をうけるように、私自身も患者さんと対峙する時には緊張します。看護師としてはたらいて長いですが、流れ作業のようには思えません。
靴下の穴に感じる恥ずかしさも人間らしさのひとつで、今回はそれが患者さんとの距離を縮めるきっかけになり私自身が救われました。
それに靴下に穴があいておられる方は少なくありませんからどうぞお気になさらずに!
そして私の働く脳神経内科では、たとえ症状が一部分だけであっても全身の診察のためにベッドに横になることがある…ということも皆様にお伝えしておきます。
今日も読んでくださってありがとうございます。
ナース刺繍は現役看護師、兼刺繍家として活動しております。
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