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「異端の鳥」ショッキングではあるが冗長
ホロコーストから逃れた少年の物語ということだが、海外の上映では途中退場者が続出したくらいに衝撃的な内容らしい。気にはなっていた映画ですが劇場公開を見逃し、このたびレンタルで視聴しました。
メッセージ性やテーマとかはさておき
画面は白黒である。しかも上映時間は169分。嫌な予感しかしない。冒頭で主人公が抱えていた小動物が少年たちにとりあげられ焼き殺されるというショッキングなシーンがありますが、BGMもセリフもほとんどなく淡々としたトーンです。
自分はタルコフスキー映画などで爆睡してしまうタイプなので劇場鑑賞だと確実に寝オチしてたと思います。
原作のタイトルはペインテッドバード
ペンキを塗られた鳥を、仲間たちのもとに放すシーンがあります。群れたちの中にもどるペインテッドバードですが、仲間たちからこづき回されたあげく、群れから弾かれボロボロにされます。
いく先々で暴行や虐待を受けるロードムービー形式
原作タイトルのペインテッドバードのように、主人公はいく先々で暴行や虐待を受けます。もはやナチスとかユダヤ人とか関係ないやんってくらいです。主人公がいじめられるパターンもあれば、主人公を世話してくれた人がリンチをうけたりするパターンもあります。
両目をえぐられる使用人がいたり、世話先の人に性的虐待をうけたり、獣姦をしてるお姉さんがいたり、エグメのエピソードのオンパレードです。
ただこれ、やっぱ露悪的な部分が感じるんですよね。ほとんどセリフがないし、そこまでハードにする必要があんのかなと。
場所移動するたび緊張がとぎれる
ロードムービー的なものの悪いところとして、移動するたびに人間関係がリセットされて物語のつながりがぷっつり切れるんですよね。
ときにはハッピーだったり、バッドエンドだったり、コメディだったり、シリアスだったり、いろんなトーンがあればよいのですが、基本、淡々と陰鬱なシーンが続くので、飽きてきます。
レビューの点数は高いけど
Yahoo!映画の点数は3.7点と高かったりしますが、個人的な感想としては微妙でした。最近、会話がメインのドラマばかりに慣れていたので退屈だったです。後半なんかは1.8倍の速度で再生してたんですけど、それでも退屈でした。途中退場が多かったというのも、内容がショッキングで耐えられなくなったというより、見続けるのがめんどくさくなったんじゃなかろうか。
人が殺されたりするシーンも、ドラマティックな演出でなく淡々とこなすので感覚が麻痺してくるんですよね、
ヨーロッパ映画特有の説明不足さとテンポの悪さがきわだちます。ふだんアメリカの映画しか見ない人には絶対にお薦めできません。
ホロコーストやユダヤ人のことを扱った作品にしても、他にすばらしい作品はなんぼでもあるんで、これはちょっとなぁ。
普遍的な差別や暴力をテーマにしてるといわれても、それでも他にいい作品はなんぼでもある気がします。