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日記:すみっコの唄

『映画 すみっコぐらし 青い月夜のまほうのコ』を見てきました……のでその感想を書きますね……

自分は『映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』ですみっコぐらしを知りました。見ていない方は見ると良いと思います。Amazon Prime Videoにもあるのでね……。ちなみに以下の感想ではこの1作目についてもめちゃくちゃ触れているのでご容赦を…………



すみっコぐらしのキャラクターは、そのタイトルが示しているように、世界の隅にいるもの、日陰にいるものとしての側面を持っている。北から逃げてきた「しろくま」、残されてしまった「とんかつ」に「えびふらい」に「たぴおか」、恥ずかしがりやの「ねこ」、自分を探している「ぺんぎん?」、身を守るために正体を隠す「とかげ」、憧れから殻を被る「にせつむり」、ブーケを夢見る「ざっそう」、などなど……。そこには誰もが抱える弱い部分や、どうしようもできない現実を投影してしまう。だからこそ、すみっコのことは他人事ではない。すみっコたちが抱える葛藤は限りなく自分のことで、だからこそ胸を打つ。そんなすみっコたちが懸命に手を伸ばす姿に、やはり心が揺さぶられる。それは1作目でも2作目でも変わらない。

2作目となる今作では、5年に一度の青い大満月の夜に訪れるまほうつかいたちとの出会いが描かれている。1作目ではすみっコたちが絵本の中の世界へと入り込み、そこでひよこ?と出会ったのと、構図としては対を成している。それは作者インタビューでも触れられていた。

物語の中盤、取り残されてしまったふぁいぶは、とかげと共に暮らし始める。それはまるで、1作目においてひよこ?がすみっコたちと暮らしていたら?という光景を見ているようだった。

そう、暮らし。上の作者インタビューでも言及があるが、今作では前作にも増してすみっコたちの生活の様相を垣間見ることができる。とかげの暮らす家や、すみっコたちが集う商店街、そしてすみっ湖へと向かう列車……。それぞれの断片から、そこに存在している生活に思いを馳せる。それがとても微笑ましく、それでいてどこか感傷的にもなる。きっと、この世界のどこかで確かに存在している幸福と、その強度について考えてしまうからかもしれない。いつか消えてしまうかもしれないその幸せが、少しでも長く続くように祈るような気持ちを抱く。すみっコたちにずっと笑顔でいてほしい。何故かと言えば、それは心からの慈愛によるものでもなくて、要するに様々な葛藤を抱えるすみっコたちが他人事には思えないからである。

そして物語の視点は「夢」へと移っていく。それは、夢という存在の輝かしい側面ばかりでなく、むしろ「夢なんてもの、なければ叶わないことに苦しむこともないんじゃないか」という仄暗い部分すらも写し取っていく。そしてそれはそのまま、世界の隅へと逃げ込みながらも自らの「夢」を胸にともし続けるすみっコの存在の足元を照らす。すなわち、夢を忘れてしまったら、すみっコたちはすみっコたちではなくなってしまう。だから、夢を捨てることはできない。

そのことが、まほうを振るうが故に夢を抱いたことがなかったふぁいぶに、夢の火を灯す。夢という名のまほうを目指して、きっとふぁいぶは杖を振るっている。

この映画は「夢」をテーマにしている。それは、夢というものの希望的な側面というよりは、叶わないままそれでも追い続けると胸に残っている夢が、自らにとってどのような意味を持つのかを問いかけてくる。だからこの映画はすみっコたちの物語で、そしてどうしようもなく我々の物語でもあるのだと思う。



エンディング曲で「うわーーーーーーー!!!!!」となったし、家に帰って入場者特典のミニ絵本を読んだら「うわあああああ~~~~~!!!!!!!」となった。感情が…………揺さぶられている…………。Small World、特にこの物語を踏まえた上での2番サビの歌詞が突き刺さる……というか全部凄い……。ミニ絵本も、映画の幕間とその後の広がりを綺麗に物語っていて……凄すぎる…………。

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