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和装する日は冠婚葬祭だけじゃない! ③バリアフリー着付

 「着付師ヒエラルキー」とでもいうべきものが、実はこの職業にもあります。
 まずは以前に書きましたが美容師と着付師。個人的にはどっちが上とかいうのはないと言いたいのですが、美容師からわりと日常的にマウントを取られます(笑)。

 美容師の中だけ、または着付師の中だけの括りで見ても、婚礼着付が「できる・できない」で優劣が付くのですが、この優劣に異議はないです。異議があるのは、「やる・やらない」で優劣を付けること。具体的には勤務先がブライダル専門店か市中の美容室かの違いですが、これでマウントを取る人に過去に一度出会いました。
 そして衣紋者(十二単や衣冠束帯などの着付師)。演技・観光地などで時代衣裳を着る場面や、十二単の婚礼を取扱う式場に存在します。美容師免許を併せ持つ方もいますが、衣紋者の免状だけでも保持者は少数なので階層としては上位でしょう。
 私が考える最上位は皇室のお着付に携われる衣紋者で、それができるようになるってどんなだろうと、もう未知の世界です。

 さて、私はこのヒエラルキーでは最下層の底辺で細々やってる者です。それでも何か、少しでも差別化を図れることはないかと藻掻いていた時期がありました。
 某ホテルの美容室で働いていたときの話ですが、足腰の弱った列席者に対し、椅子に腰掛けてもらったまま着付ができる先輩着付師がいました。
 初めて目にした技術に、”凄っ! そういう着付もあるんだ”と、羨望の眼差しを向けていましたが、教わる機会はないまま私の方が辞めてしまったので、どこかで習えないものかとインターネット上で探しました。その結果、いくつかの団体が講習会を開いていることを知ったので、美容師免許がなくても受講できる団体のところにすぐさま申込み、受講しました。
 その認定書がこちらです。

 ここで習得できる技術には特許があるとのことなので具体的な方法は伏せておきますが、相モデルで着付けてもらったところ、締め付け感がなく、ずっと着ていたいと思える仕上がりの着付です。
 この技術を知ってから私は、何らかの理由で和装を諦めている方に「ちょっと待って!」と言いたいのです。
 プロコース受講済なら座位だけでなく仰臥位(あおむけ)での着付も可能です(ヘッダー写真参照)。また身体的理由のみならず、窮屈さが苦手等の感覚過敏があって和装を避けている方にもお試しいただきたいです。なので私はこの技術を「バリアフリー着付」と呼びたいのです。
 これを読んでくださっている皆さんのお近くにも「車いす着付師」等の名称で活動する方がいるはずですので、一度お調べになってみてはいかがでしょうか?
 着物を着たいすべての方が、フォーマルはもちろん、カジュアルでも、お着物でお出かけすることができますよう、私も技術を磨こうと思います。

車いす着付講習会場にて。初めてできれいに仕上げられませんでした(泣)。

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