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2020年12月6日 20:27
(旅ノート1冊目より、2011年2月6日 早朝)古寺をめぐる。路地、家々の中を通り抜け、いくつもの古寺がふいに姿を現す。古(いにしえ)が今の民の暮らしに溶け込み、淡々と建っている。脇道から寺に入り、正門まで歩くと、眼下に尾道の街が広がった。明けたばかりの太陽の光が、空に薄紫の絹のような朝焼けをつくり、街は朝靄にうっすらとかすんでいる。時折車や電車の音が通り過ぎ、その間も、背中の方から