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興味は長くは続かないのだから 趣味としてのクラシック音楽
好きなもの、聴きたいものを聴こう。
そう決めました。
かねてより、西洋美術、西洋音楽どちらにも興味を持つなか、音楽にはいくつかのハードルがあると感じていました。
精度を別にすれば、美術であれば、1時間に100作品を見ることは可能です。
それによって美術史を概観することもできるでしょう。
しかし、音楽はそうはいきません。
小品でも5分前後、序曲なら8分前後が多いでしょうか。
交響曲では1時間を超えるものもありますし、オペラだと2時間でも短めです。
また、美術史は本を読めば一通り学べる一方、音楽史では、やはり曲を聴いてみないと身につきません。
ウィキペディアに載っているような内容をいくら覚えても、テキストは鑑賞の補助にしかならないのですから。
最近、モーツァルトのオペラ「ドン・ジョヴァンニ」を観ることができました。
予習のため、有名なアリア、そして全曲を何度か聴いたのですが、やはり相当の時間を要します。
今回、限られた予習時間では、通しで聴きこむことはできませんでした。
そして音楽のなかには、心に響くものと、そうでないものが存在します。
決して多くない曲を聴いた限りでは、私は古典派以前の音楽はあまり好みではないようです。
モーツァルトも、ある1曲を除いては、世評ほどには胸に届くものがありません。
ここで、「これだけモーツァルトが受け入れられているのだから、その魅力を理解できるよう努力すべきだ」という方針も成り立ちます。
それによって「ある1曲」が、2曲3曲になるかもしれません。
ただ、やはり時間が足りないのです。
クラシック音楽は、さほど冷めやすい分野だとは思いませんが、それでも興味の風速はうつろうものです。
水は流れ、火はゆらめきます。
オペラや演奏会の予習のため、研究や勉強のため、など理由がある場合は別にして、好きなもの、好きかもしれないものを聴くだけでも手に余ります。
将棋の世界では、プロ棋士は居飛車が多いのに対し、アマチュアでは振り飛車が好まれます。
その要因のひとつは、勉強量です。
居飛車には膨大な研究を要するのに対し、振り飛車ではある程度範囲を絞ることができると言われています。
長らく、棋界の頂点は居飛車党で占められています。
トップ棋士もほとんど居飛車ですが、それでも、アマチュアには振り飛車をすすめる方が多くおられます。
プロにはプロの、アマチュアにはアマチュアの理論があります。
音楽においても、アマチュアは振り飛車党でいいんじゃないかと思うのです。
「いろんな音楽に触れるべきだ」
「選り好みしていては感性が育たない」
「好きな曲とまだ出会っていないだけかもしれない」
さまざまな意見はあり、それぞれもっともだと思います。
こういうご指摘に接すると、好きなものだけ聴くことに後ろめたさも感じます。
ただ、音楽には時間がかかる。
そして、興味も移りゆくものです。
それなら、好きなものは好きなうちに、好きなものだけ聴く。
アマチュアなりの付き合い方、趣味としてのクラシック音楽との向かい合い方があっていいんだと思っています。
そのうちに、私のなかで音楽の立ち位置が変化していくことでしょう。
そのときにまた、考えます。