2024年9月生まれの短歌たち
10月が終わろうとしているのに、いまごろ9月の話で恐縮ですが、今後のために記録をつけておきたくなりました。
これから、自分の短歌がどう変化していくのか、あるいは変わらないのか、定点観測していきたいと思っています。
連作「まだ透明な本」
おなじ道歩いていても気づかない言葉を摘んで星にするひと
やさしくて切ない歌を詠むひとのまだ透明な本が欲しくて
まぶしくて紅茶のカップてのひらに抱いて西日を見上げています
好きだけが好きを伝える術じゃない 知っていますが好きなのは好き
褒め方がわからないから褒め方の練習モデルになってください
いまだけは待っていてとは言いません 言葉の海で追いかけさせて
歌の種育てていきます いつの日か短歌の気分みつけるために
もう二度と踏まないでって書いたから雪が隠してくれたのでしょう
(一文字短歌「傘」)
響かせる準備はずっとできている誰もタクトを振らないだけで
(一文字短歌「響」)
でも、やっぱり眼鏡の重さが愛しいね。あきらめよっか、生まれ変わるの
(単語で短歌「眼鏡」)
私しか知らないひとを褒められてきょうも私は嫉妬している
(一文字短歌「痛」)
舞台からこぼれるほどの編成の弦よ、はじけよ 木星は春
(スペース短歌「大きい歌」)
おとなだね。波が指輪をさらっても行っておいでと笑えるなんて
(スペース短歌「大きい歌」)
波風は立たない方が好きだから 石は投げずに積んでおきます
(単語で短歌「好き」)
有名じゃない弦楽器弾く人はみんな仲間と思っています
(一文字短歌「器」)
届くはずだった手紙は泥のなか 声を発することもできずに
(一文字短歌「泥」)