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「ヒュー!日向 マッチング短歌 Final」を振り返る ひとりで感想戦
昨日、2024年7月12日をもって、「ヒュー!日向 マッチング短歌 Final」が閉幕しました。
1か月通しで参加することができ、本当に楽しかったです。
充実した毎日でした。
まずは、企画運営していただいた皆様、撰者の枡野浩一さんと天野慶さんに御礼申し上げます。
これだけ楽しませていただいたので、早速ですが「ヒュー!日向 マッチング短歌 Final」を振り返っていきたいと思います。
投稿数、返歌数
すべての短歌をExcelに貼り付け、手元で集計したところ、投稿された短歌は821首、マッチしたのは565首、返歌の合計は1113首でした。
ただし、このなかには重複投稿(誤字があり再投稿されたもの、明らかな重複など)もあり、公式発表はこれより少なくなるはずです。
(注)投稿数は、7月13日16時20分頃の時点。試していませんが、締切以降も投稿ボタンは押せたようです。
プレスリリースには、
第一回(2022年)では合計3689首1814マッチ、第二回(2023年)では1417首745マッチ
とありましたので、だいぶ少なくなっているのですね。こんなに楽しいのに。
8月24日追記
公式に、全1894首1076マッチと発表がありました。第二回(2023年)より、どちらも増加しています。
締切の数日前にざっと数えたときには、投稿数約650、マッチ数約450くらいでしたので、駆け込み投稿がだいぶ多かった印象です。
すべての短歌のなかで、最も返歌が多かったのは次の歌でした。
あなたなど忘れましたよあの人はラムネの瓶も置き去りにして
返歌の数は実に31首!
二番手が15首なので、ダブルスコアです。こちらも、締切前に返歌が集中した気がします。
マッチング短歌賞のうち「モテ賞」は、この短歌とその返歌のなかから、となるでしょう。
投稿者の方、おめでとうございます!
ちなみに、日向市民の方の短歌で、最も返歌が多かったのは次の短歌で、返歌15首です。
会いたいな会えるといいなあのメンバー!思いっきりの笑顔でおかえりなさい♡
昨年のマッチング短歌交流会レポートにも登場された、スナックめぐのママさんの歌です。
「あのメンバー」の皆さんがうらやましい一首。
今回、10首以上の返歌がついたのは8首(明らかな重複を除く)でした。
拍手!
お気に入りの短歌
たくさんの投稿のなかから、お気に入りの歌をいくつか紹介します。
まず、筆頭に挙げたいのがこちら。
雨音がアガパンサスを抱きしめてそしてわたしはあなたに逢いたい
情景が目に浮かぶ、鮮やかな歌です。
私にとって、アガパンサスは梅雨どきの唯一の癒し。
この短歌を目にした瞬間、いくつかのキーワードが浮かび、次の返歌ができました。
雨粒を数えて待つね約束のアガパンサスの花が咲く頃
もはや客観的には見れないのですが、お気に入りの一首です。
あっという間に形になり、自分自身に驚いた歌でもあります。
元の歌の投稿者の方、ありがとうございました。
続いては、だいぶ雰囲気を変えて、こちら。
おお!へべすあなたはどうしてへべすなの?おつかいひとつ出来ない私
返歌せずにはいられない、求心力のある歌です。
さて、これに返すには、ジュリエットの台詞から引っ張ってくるか、やっぱりロミオがいいか、いっそウエスト・サイド・ストーリーはどうだろう…
先程のアガパンサスの歌とは対照的に、悩みに悩み、考えた末の返歌がこちらです。
ああ僕を君のへべすにしてほしいおつかいぐらい行ってくるから
X(旧Twitter)にも書いたのですが、この対の短歌は、
へべす
短歌
マッチング
どれが欠けてもうまれなかったはずで、 もうそれだけでこの企画に参加できて良かった。心からそう思います。
元の歌を詠んでくださった天野若花さん、ありがとうございます!
この2組の返歌は、自分なりにぴったりはまったと思っています。
一方、元の歌が魅力的なのに、それに見合う返歌を考えられなかったものも。
12時をまわる頃には寝てるからまほうが解けないままの人生
私自身が夜更かしできない人間なので、引き込まれました。ファンタジックな世界観を活かしたかったのですが、思うに任せず。
マッチング短歌の募集は終わりましたが、引き続き考えたい一首です。
最後に紹介したいのがこの短歌と返歌。
TANKA
この恋は賞味期限切れかもしれない気づかぬふりしまた冷蔵庫へ
HENKA
きっとまだ火を通したら大丈夫だからもいちど火をつけにきて
この返歌はうまいなぁと感じます。
「きっとまだ~」のこの歌、実は単独でも短歌として投稿されていたのですが(おそらく操作ミスと思われます。私もやりました)、「この恋は~」の返歌としてみると、「火」のダブルミーニングが効いていて、その印象が大きく変わります。
こういう返歌を詠めると楽しいでしょうね。私も精進します。
週替わりのお題
今回のマッチング短歌の特徴が、週替わりのお題。
第1週 日向
第2週 へべす
第3週 サーフィン
第4週 酒
日向は、やはり作りやすかった印象です。
日向夏の歌も多かったですね。日向夏が冬から春先の果物だとは、今回初めて知りました。
へべすは、想像以上に楽しかった!
不思議な語感、未知の果実に、創作意欲を刺激されました。
ロミオとジュリエットのあの返歌も、へべすだったからこそです。
サーフィンは、事前の危惧どおり、私はあまり良い歌にできませんでした。
自分のなかにイメージがないのでしょうか。
酒は、まずまず。
お題のなかでは最も身近ですし、とはいえ自作はそこから飛躍しきれなかった気もします。
1週ごとにお題が変わるのはおもしろかったですし、盛り上がったなと感じます。
これからの自分のために
今回のマッチング短歌で強く思ったのは、
短歌は1日寝かせよう!
枡野さんの「かんたん短歌の作り方」に、
これしかない! という決定的な表現にたどりつくまで、迷うのをやめないでください。
とあります。
それゆえ、「できた!」だけでは投稿せず、
「決まった!」まで自重したはず、だったのですが、それでも十分ではありませんでした。
とりわけ、「これは大丈夫」と喜び勇んで投稿した短歌ほど、しばらく経って、あるいは投稿ボタンを押した瞬間に、
「あ! やっぱこの表現の方が…」
となりました。
マッチング短歌という性質上、返歌のネタがかぶるのを恐れ、つい先んじて投稿したくなるのですが、振り返ってみれば、ネタかぶりはそうそう起こるものではなく、また、もしかぶったとしたら、それまでの話です。
慌てて成熟途上のものを投稿するのではなく、じっくり腰を据えて考えよう。
それが今回の一番の教訓でした。
技術的なところでいえば、「てにをは」の吟味が甘く、まだまだ鍛える余地があります。
それにしても、Xに載せた途端に改善点が見つかるのはなんなのでしょう。
短歌の下書きや推敲は、LINEのメモかExcelで行っていたのですが、Xでしか気付かないものもあり、不思議なものを感じます。
叩いても引っ張っても揺らがない短歌、それを目指していきたいです。
最後まで課題として残ったのは、返歌がつく歌、つきにくい歌を見極められなかったこと。
自分の短歌に限らず、意外な歌が伸びていたり、返歌がつかなかったり。
常連さんだと、このあたりのポイントが分かるのでしょうか。
今回の「ヒュー!日向 マッチング短歌 Final」。
全体を通じて、
やりきった
という思いが強いです。悔いはない。
短歌を考えはじめておよそ10年、指の数で足りるほどの歌しか持っていない自分が、これだけたくさんの短歌をつくれたということ。
結果はどうあれ、きっと、大きな自信になるはずです。
…でも、日向に行きたいな。
もし、枡野さん、天野さんにお目にかかれたなら、「かんたん短歌の作り方」愛読者として、生涯の思い出です。