寝ぐせ姿の川っぺりを走っていたら
老婆がこちらへ歩いてきた
日課のようにすれ違うお互い
スローテンポで運ぶ 右足左足
ときどき立ち止まり 川に心を流している
なにかを浮かべてるのか 思い出しているのか
出かけた感情が下流へ消えていく
僕が気付いていないことも
あの人はきっと知っている
そんな気がしてくる
走りながらは気づけない景色
立ち止まってしか受け取ることのできない風を
あの人はもう感じているだろう
いま地球は風邪を引いてしまった
世界を休ませるために
休んだあとには 目が醒める
この夜に終わりがあるとすれば
いろんな人が
朝を感じたときだと思っている
#詩
#散文詩
#浅川