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星は永久に配列されている 宇宙の螺旋階段を上がっていく たとえばそれは深海を泳ぐ 魚の群れたち 形状が繰り返すうちに 安定した姿が保てなくなって 巻き込みのジレンマが起きていく 元の形状に戻すべく渦を創り出しては やすらぎを求めていく 小さな渦はまるで 欲望を太らせていく人間のように 大きな渦へと肥大していく そして 膨大なエネルギーを秘めていく 渋滞のテールランプの感情のような 一定のアイドリングが続いていくと 踏み込む強さが与えられる 強さはエネルギーを
あまりにも風を通すこの場所は たとえ春でも冷めやすい 人は数字や記号で表せない あえて言うなら暗号だよね 答えが出なくていい 繋がっていると思っている ただそれだけだ 風の中を大きく跳んだ 洋服たちが掴まれた 春の風はあたたかくて 秋は冷たいと 誰が確かめただろう 学んでおきたかったことは 黒板には書かれていなかった 削りすぎた鉛筆のような僕は まだセーターを編んでいる #散文詩 #詩 #セーター
愛は黙りたがる 欲は話したがる 心はひとつだけなのにね 虹のように遠くを見てね 朝のように静かにね だから 君へありがとう 僕をありがとう もう4月か 春が色をもらったような今日 色えんぴつよりも 24色の絵の具よりも 描きたいと 塗りたいと思ったんだ 僕を #散文詩 #詩 #いまがいちばんいい
ずっと前に買った本の アンダーラインを眺めていたら いつの間にか あの頃の自分と出会っていた ページの角を強く折り返してた その場所にいまの僕はもういない 書き換えをつづけて 歳を重ねていくものなのか 未来へ向かえば向かうほど 体験できる期限が近づいていく 大抵の人は経験した分だけ 不安が大きくなってしまう 大切なのは 自分が大きくなれば 守る人が増えていくということ そして 残したいことが出来ていくということ #詩 #散文詩
いってきますを伝えてきた 天空の玄関があった 扉の次に扉があって たどり着かない はてしない物語 上から覗いてみたい迷宮 雑誌のスクラップな記憶は いつも僕を僕でいさせない 転んで起きて歩き出す 誰もがそんな時代を通過してきたが すり傷を恐れて走ることをしない 涙が心を洗う日があれば 笑顔で不安を塗ることもある 少なくとも車内にはルールがあり 景色と乗客が旅を彩っていく 生きていれば続く今日 一生は数えきれない今日 あしたはいつまでも訪れない 毎朝ダウンロードし
大人が大人になるために 別れなきゃいけない少年がいる 親が親であるために 思い出したい童心がある あなたは両側のど真ん中 スローボールが届かない 豪速球はキャッチできない そんな時が人にはあるんだね いまはいまを客観視してみる それがあなたがあなたで居るための 唯一のポジションなのだと #散文詩 #詩
空っぽの実家を見てきた 11歳の夏 移ってきた頃の 打ち上げ花火を覚えてる あのときの家族は あのときで最後だった そして町が街になった いつか開けた壁の痛みも 床に流れ落ちた雫も 段ボールに収めた絵日記になっていく もう響くことのない足音は 心を打ち続けているよ そして 思い出たちは賑やかに 空間をラストスパートしている あの日 空を描いてくれた 打上花火のように カラフルに #詩 #散文詩 #思い出 #実家
静まり返った地球で 人々が立ち止まっている 豊かさの真の姿を見つめながら いま新世代の 生存本能が試されている 物質的な世界と別れて 心に吹く新しい風と出会っていく 信じたことが現れているんだ もう風を読むことはない だれかの顔色で変えるな自分 サングラスをかければ 太陽の輪郭がよく分かるように 見渡す景色はすべて自分次第 心を開いて動いていけば 必ず拓いていくこの世界 いまを 強く生きるんだ #詩 #散文詩 #風の時代
あたたかい陽の光が 静かに地球の背中へ帰っていく頃 作業着を着込んだ男性が 冷たく渇ききった頬で交通整理をしている ふと見上げて何かに気づき そこへ歩み寄って行った 誘導ライトを地面に置くと 樹木を見上げながら スマートフォンをかざしている 桜の蕾 不器用で硬くなった人差し指が 丁寧にシャッターを切っていた ヘルメット姿のその向こうに 帰りを待つ 家族が見えた気がする 彼はそれをポケットに戻して 役割へ戻って行った 春はもうすぐだ #詩 #散文詩
はじまりのライトを浴びながら 制服の中学生が今日へ通っている チャイムの音符が流れてきそうな川沿いで 舗装されたあの子の横顔を見ていた 家族であっても 親友であっても 実のところ 人の内側は分からない この世界は自分なんだよ 自分の世界からすれば 人々はエキストラみたいなもの 自分の景色しか自分には見えない 僕らには空の青さが分かるけど 宇宙がそれを見ることができないように 自分に定めてみよう すべての雑音が消えていくまで 信じることは歩くこと 答え合わせはいま
寝ぐせ姿の川っぺりを走っていたら 老婆がこちらへ歩いてきた 日課のようにすれ違うお互い スローテンポで運ぶ 右足左足 ときどき立ち止まり 川に心を流している なにかを浮かべてるのか 思い出しているのか 出かけた感情が下流へ消えていく 僕が気付いていないことも あの人はきっと知っている そんな気がしてくる 走りながらは気づけない景色 立ち止まってしか受け取ることのできない風を あの人はもう感じているだろう いま地球は風邪を引いてしまった 世界を休ませるために 休んだあ
気持ちをニュートラルにいれたいとき 空を見上げてみる 泳ぎながら彩っていく雲たち 息継ぎするように止まりながら 抱き合い大きくなって 空を描いている ひとりでもひとりではなかった 自分は自分しか知らない けど伝えようとすれば 少しだけ伝わる みんなの心を 優しくビブラートさせる 小さな波が重なれば いつか大きな船を運ぶ 幸せって結局かたちはどこにもない 目指しているだけの宝の島で 自分だけの望遠鏡で そこにロマンが浮かんでいれば それでいい #詩 #散文詩 #
太陽は東から上がることをやめない 立ち上がる時はいつだってつまづいた後だ 想像したことはね 見えてる現実とは違う絵空事だと そう考えてる人が多い けどこう換えたらどうだろう 想像は虚しさの絵の具を薄めてくれる 現実と理想は同じ糸で編まれた一本のロープ 同じ場所を行き来していると 暮れていくその向こうに 明日を想像してくれないか 長くて狭いあの産道で くぐり抜けた後に待つ光を どうして君は知っていたのだろう 君のかばんの中には 消しゴムは入っていないがペンはある 書
洗いざらしの心は 乾きたてのように吸い込み もぎたてのヒントで 搾りたての答えを見せる おぼえたてのやさしさ読んで 入れっぱなしの感情を洗う 最後に挽きたての勇気でかき混ぜれば ほかほかの愛が生まれる #詩 #散文詩 #言葉
賑やかな南国の 行き交う町の路面店 手書きのマジックで 値札がつけられ並んでる 手にした人の舌に湧いてくる酸味 期待したような甘み そんな果実になった なるしかなかった 熱されたアスファルトのそばで 排気ガスを吸い込みながら 陽射しを裸で受けてきた 焼けた肌で 遠くを見ることもしないで それでも実をつけたんだ みんなが喜ぶフルーツをつけた つけるしかなかった 君は 与えることで疲れてしまって いつも無表情でうつむいて 長く伸びた影を踏まれないように歩く人 お願い
ひさしぶりの休日 孫に会いたい父を誘い 熱暑の府中競馬場公園へ 昭和が漂うフードコートの ソフトクリームの売店は 子ども達にすぐに見つかるとこにあった 普段から履き慣れてる クロックスサンダルが やっと水に会えたことを喜んだ 南中高度の陽の下での水遊び 子ども達は噴き上がる水に躍り 大人達は日陰でそれを眺めている それにしても父の心が どこからどんなふうに さま変わりしたのか 孫の可愛さは特別らしい 親が出来なかった甘やかしを 責任なく与えられるからだと人は言うが