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#06 ナンバー2に求められる論語とソロバン
ナンバー2には、「大義=論語」と「経済=ソロバン」の両方が必要です。
トップは「大義=論語」を強く打ち出す存在。大義に共感すると同時に、会社の経営を成り立たせる「経済=ソロバン」にも力を注ぐのがナンバー2です。
私の経営経験において、論語とソロバンのちょうどいいバランスは、トップが「論語8割・ソロバン2割」、ナンバー2が「論語2割・ソロバン8割」で行動している状態だと考えています。
トップとナンバー2を足すと、論語とソロバンの割合が「10:10」になり、会社もバランスよく成長していきます。
会社に論語とソロバンが必要な理由
周りにモノが溢れていても、心が豊かでなければ幸せではありません。逆に、モノやお金が少ないのも苦しい状況です。
では、あえて、どちらが大切かと問われたらどうでしょうか?
私は、まずは論語だと思っています。
会社のあり方は、トップが何を幸せと感じ、どのようなビジョン(論語)を持つかによって左右されます。トップが語る論語があり、その後に物心両面をバランスよく充実させるために、ソロバンを弾くのがナンバー2の役割です。
たとえ儲けが少ない場合でも、丁寧にお客さんをフォローすることが、将来的な成長につながります。論語を語るトップの元で、社会のために役立つことを価値にしている会社は持続的に伸びていくのです。
かたや、利益ばかり追求するトップの会社は、一時的には成長するかもしれません。しかし、会社には同じような考えを持つ人が集まるものです。短期的な利益ばかり追求する社員が増えると、お客さんのフォローが手薄になりクレームや返品、解約率の上昇に繋がることもあるでしょう。ソロバンに傾倒し、目先の利益だけを追い求めていては、事業や組織に綻びが生じてしまいます。
経営者が1人で論語とソロバンをバランスよく持ち合わせる必要はありません。むしろ、トップが論語とソロバンを50:50で語っていては、どこに向かうのか、苦しい時に何を優先すべきかの判断に迷いが生じてしまうでしょう。
私は、トップとナンバー2が二人三脚で、会社としての論語とソロバンのバランスを取ることが持続的な成長に繋がるカギだと思っています。
ソロバン感覚はどうしたら鍛えられるか
ナンバー2にはソロバンの部分、例えば会社の仕組みを作るための人材登用も含めたビジネスセンスが必要です。
「ビジネスセンスはどうしたら鍛えられますか?」とよく聞かれるのですが、大事なのは、思いついたらとにかくやってみることです。
私は「PDCA」の「Plan」からでなく、「Do」から始めると良いと考えています。やってみてから、チェックしてアクションを考える。すると、次のプランが見えてきます。アクションの繰り返しによって、ビジネスセンスは磨かれていくのです。
一方で、プランを考えることに時間を使いすぎ、考えすぎて行動に移せない人も多いと感じています。
ナンバー2に求められる意思決定の速さについては、次回「できるナンバー2は行動が早い」で解説します。