鴻雁北(七十二候)と捨翠為鈿
4月10日頃は七十二候の「鴻雁北(こうがんきたへかえる)」です。雁が北へ渡って行くと言う意味です。雁が並んで飛ぶことを雁行といいます。煎茶道の卓式点前で、お客自身がお点前のお茶碗を並べて順次、次客に回していく所作も雁行と呼びます。茶托に乗った茶碗が並んで進んで行く風景が雁行に似ているからです。取りあげた文人華は、五葉松と白梅の取り合わせの「捨翠為鈿(しゅうすいいでん)」です。捨翠とは平安時代、春まだ浅い頃に、野辺に出て草花を摘んだ習わしが由来の言葉です。雅題は、緑の草花を拾い集めて鈿(かんざし)にするという意味になります。