実家をIT化せよ(2日目) 〜親の移住と、家族の記録#06〜
実家IT化プロジェクト3デイズの2日目。
この日は朝から、ネット回線の引き込み工事が入った。父は仕事で不在。他人が家の中に入ることなど滅多にないので、母は少し居心地が悪そうだったが、玄関もリビングもふだんから片付いているので、さして恥ずかしいこともない。思えば、昔から家の中が散らかっていたことはなく、いつもきれいですっきりしていた。急な来客に慌てて片付けたという記憶もないので、母の掃除が行き届いていたのだろう。そんな人の娘なのに、「元あった場所に戻す」ことさえ苦手な私、なぜだ。。。
工事は午前中で無事に終わった。固定電話の近くにモジュールやケーブルが増え、見た目にもデジタルな雰囲気になっている。パソコンのインターネット接続を設定し、ついに開通。これで準備が整った。
午後からは、母とまたパソコンに向かう。まずは1日目の復習を兼ねて、起動とログインから。IDとパスワードの打ち込みは、紙に書いたものを見ながらだがスムーズにできた。
2日目のテーマは、「インターネットを使ってみる」。いよいよ母のネットデビューだ。あらかじめお気に入りに登録しておいた時事ニュースサイトの見方を教え、天気予報も調べてみる。移住希望先の地域の詳しい天気も見られることがわかると、「へーすごいわねえ」と感心していた。
つづいて、検索のやり方を教える。移住希望先の「○○市」「 物件」と入力して、出てきた不動産サイトの中からひとつを選んで開いてみせた。ずらっと表示される物件情報に、驚きの声をあげる母。目の輝きがそれまでと明らかに変わっている。写真を拡大してみたり、詳細情報を見てみたり、自主的にどんどんネットの波の中へ進んでいく。
よかった。この世界を知ってほしかったのだ。
実際に現地へ行き、足を使って探す方法もちろんあるだろうが、それだけでは情報が少なすぎるし、時間もかかる。何より両親のモチベーションが続くかが心配だった。ネットなら自宅でいつでも最新情報にアクセスできるし、地域のさまざまな情報にも触れられるだろう。「中古」「戸建て」などいくつかのキーワードでも試し、地元の情報に強そうな不動産会社のサイトはブックマークに追加した。
見事にネットデビューを果たした母は、夕飯の支度の時間になるまで夢中で検索していた。仕事から帰ってきた父にも興奮気味に報告している。
技術的にはまだ初歩の初歩だが、興味と目的があればおそらく大丈夫だろう。実家IT化の2日目は、こうしてあっというまに終わった。
パソコン初心者あるある(母の場合)
●クリックする時に首まで一緒に動いてしまう
●マウスが机の端まで行ってしまうと「どうしよう」と助けを求めてくる
●嫌いな芸能人の広告が表示されると露骨に嫌がる
一生懸命な姿が時におかしくもあり、なかなか新鮮な時間だった。
母はテキパキ動く人で、料理も掃除もなんでもちゃちゃっとできた。家庭科の裁縫の宿題が、朝起きるときれいに仕上がっていたこともある。母のようになりたい、でもきっと無理だという諦めは割と早いうちから私の中にあって、それを悲観することもなく育った。こんなふうに私が母に何かを教えたのは、人生で初めてのことだったかもしれない。やっと少しだけ親孝行らしいことができたのなら、うれしいのだけど。
実家IT化のスケジュール
1日目:パソコンにさわってみる、基本的な操作を覚える←終了
2日目:インターネットを使ってみる←終了
3日目:メール送受信をやってみる
いよいよ最終日。次回、3日目の様子を書きます。
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