初学者向け オイラーの公式で遊ぼう!
オイラーの公式とは、$${e^{i\theta}=\cos{\theta}+i\sin{\theta}}$$ のことを指します。この証明等については、wiki のこちらなどを参照してください。ここでは、気楽にオイラーの公式で遊んでみることにします。
1.基本的公式の準備
① $${e^{i\theta}=\cos{\theta}+i\sin{\theta}}$$
この両辺の共役複素数を取ると、次を得ます。
② $${e^{-i\theta}=\cos{\theta}-i\sin{\theta}}$$
①と②から、次を得ます。
③ $${e^{i\theta}+e^{-i\theta}=2\cos{\theta}}$$
④ $${e^{i\theta}-e^{-i\theta}=2i\sin{\theta}}$$
ここから、三角関数の加法定理・倍角定理などを示すことができます。
2.cos の 3 倍角の公式
$${\cos}$$ の 3 倍角の公式を示してみます。③だけを使います。
$$
\begin{array}{lll}2\cos{3\theta}&=&e^{3i\theta}+e^{-3i\theta}\\\ &=&(e^{i\theta}+e^{-i\theta})^3-3(e^{i\theta}+e^{-i\theta})\\\ &=& 8\cos^3{\theta}-6\cos{\theta},\\\ \cos{3\theta}&=&4\cos^2{\theta}-3\cos{\theta} \end{array}
$$
3.和積・積和の公式
和積・積和の公式も、作ることができます。ここでは和積のみやってみます。③だけを使います。
$$
\begin{array}{lll}e^{ix}+e^{iy}&=&e^{i\frac{x+y}{2}}(e^{i\frac{x-y}{2}}+e^{i\frac{y-x}{2}})\\\ &=&e^{i\frac{x+y}{2}}\cdot 2\cos\frac{x-y}{2} \end{array}
$$
の実部と虚部を比較して、
$${\cos{x}+\cos{y}=2\cos{\frac{x+y}{2}}\cos{\frac{x-y}{2}}}$$,
$${\sin{x}+\sin{y}=2\sin{\frac{x+y}{2}}\cos{\frac{x-y}{2}}}$$
を得ます。
4.有名な定積分(サムネ)
最後に、東工大 1993年 などで出題されている次の定積分を計算してみます。$${n}$$ は自然数とします。
$$
\Large \int_{0}^{\frac{\pi}{2}}\frac{\sin{(2n+1)x}}{\sin{x}}dx=?
$$
解答は下のほうです。
$$
\begin{array}{lll}\frac{\sin{(2n+1)x}}{\sin{x}}&=&\frac{e^{i(2n+1)x}-e^{-i(2n+1)x}}{e^{ix}-e^{-ix}}\\\ &=&e^{i2nx}+e^{i2(n-1)x}+\cdots+1+e^{-i2(n-1)x}+e^{-i2nx} \\\ &=& 2\{\cos2nx+\cos{2(n-1)x}+\cdots+\cos{2x}+1\} \end{array}
$$
から
$$
\begin{array}{lll}\int_{0}^{\frac{\pi}{2}}\frac{\sin{(2n+1)x}}{\sin{x}}dx &=&[\sin2nx+\sin{2(n-1)x}+\cdots+\sin{2x}+1]_{0}^{\frac{\pi}{2}} \\\ &=& \frac{\pi}{2} \end{array}
$$
何か誤りなどあれば教えてください。
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