【物語詩】おかしな探偵たち

　おや　お客さん　いらっしゃい
　おやおや　とても困った顔ですな
　ふむふむ　道に迷ってここに辿り着いたと

　それなら我らにお任せください！
　ここはあらゆる才を持つ探偵たちの事務所
　あなたの悩みを解決して差し上げましょう

　どんな悩みでも？　その通り！
　面倒な魔草刈りからダンジョン調査まで
　幅広く　志は高く　夢はでっかく致します

　ほら　今こちらに1人戻ってきましたね
　何の依頼で……依頼者の謝罪の手伝い？
　ああ　母君が怒るととても怖い人なの……

　あっもう1人来ましたね　何々？
　……ひたすら子どもを肩車して歩いた？
　いいけど　それだけで良かったの？

　小さい豆をつまむ競争の審判をしたとか
　ハリセンを品定めする実験体になったとか
　ああもういいですよ　お疲れ様ですっ！

　さて　お待たせしました　お客様
　さてさて　道に迷われたんですよね？
　はてさて　お任せを……え　もういい？

　先程からお腹を抱えて笑っておられますね
　まさか　我らが頼りなさ過ぎましたか？
　とても情けないです……え　違うと？

　我らの活動を眺めていたら　おかしくて
　楽しくなって　明るい気分になって
　霧が晴れたように帰り道を思い出したと
　そうですか……そうでしょうともっ！

　当探偵事務所は依頼達成率100％です
　いかに些細なことでも　実直に　全力で
　解決するのが皆の自慢です　えへん！

　あなたの悩みが晴れて我らは嬉しい！
　さあさあ　家路の途中まで送りましょう
　さあ　君たちも休んでないで来なさいっ

　はい　ここですね　それではお気をつけて
　はいはい？　また会えますかって？
　はい！　あなたのお望みの通りに！

　我らが探偵事務所を　どうぞ　ごひいきに

西田敏行さんのご逝去を受けて「もしもちょっとファンタジーな『探偵ナイトスクープ』みたいな事務所があったら」というテーマで執筆しました。
この場を借りて、ご冥福をお祈りいたします。我らが所長よ永遠に……。