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量子コンピューターがやってくる

noteのタイトルだが元々は量子力学で有名な「シュレディンガーの猫」も意識して付けている。
この世界は不確実らしい。位置と運動量をいっぺんに測定するのは難しいんだってさ。
数学的な記述にはヒルベルト空間ってのも使うようだけど力学としては4次元が基本になっている。

多次元の譫言

現実世界は空間3次元+時間1次元ってことだけど、そうなのかな。
なんで時間は多次元じゃないんだろう?
時間を動かすエネルギーって何?保存則はないの?

空間3×時間3の多元的な閉じた系が飛び飛びにある。
その外側(かな?)に3次元の開いた系がある。
観測者(自我か?)その原点にいる。
で、閉じた系を眺める。
ぴょんぴょん伝いながら次から次へと。
その順番がエントロピーだとしたら?

現実回帰

量子コンピューターの話だった。
Boston Consulting Groupが量子コンピューターに関する市場予測を出した。FTQC(Fault-Tolerant Quantum Computer)が実装される時期は2021年の予測を据え置きしたようだ。2040年移行らしい。
ただNISQ(Noisy Intermediate-Scale Quantum)の経済効果は期待を下げた。予測レベルに追いつかなかったのが理由なんだそうだ。
おそらくFTQCの実現が見えてきて社会全体のリソースがNISQから浮気してしまったのだろう。お気の毒に…

世界は回ってる

FTQCの実用化は思ったより早いと思う。
アメリカとイスラエル中心に目まぐるしく動いている。

  • IBM(アメリカ)はフェルミ国立加速器研究所と提携した。
    加速器を動かすから超高度な希釈冷凍システムがある。
    元々、冷却が必要な超伝導方式で先行しているIBMなので、SQMSセンターはパートナーとしてもってこいだろう。
    しかも加速器研究所の生データが手に入る。量子コンピューターを越えたよくわからないものまで作り出しそうな気がする(気がするだけ)。
    日本だと産総研が「競技場」を作るって言ってるけど何をする気なんだろう?

  • Classiq(イスラエル)とQuEra(アメリカ)が手を結んだ。
    Classiq Technologiesは量子コンピューターのソフトウェアやクラウド環境を公開してプラットフォームの座を狙っている。
    QuEra Computingは中性原子方式の雄で日本でも産総研が導入を発表している。
    ちなみに分子研も同方式の開発をやると言っている。言ってるけどどうなるかわからない。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000023.000101286.html

  • PsiQuantum(アメリカ)はどでかいセンターを作ると言い出した。その名も「Quantum Park」。
    PsiQuantum自身は新興勢力だけどバックが太い。イリノイ州、クック郡、シカゴ市が付いている。
    しかもイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校、シカゴ大学、イリノイ大学シカゴ校、ノースウェスタン大学とも提携する産学連携体制を構築している。
    もしかしたら半導体ファウンドリ世界3位のGlobalFoundries(アメリカ)とも組んでるかもしれない。
    ここは光量子方式だろう。日本だと東大の先生がスタートアップを作るって言ってたけどどうなったんだろう?

https://xenospectrum.com/plans-announced-for-the-construction-of-the-first-utility-scale-quantum-computer-in-the-usa/

  • 精華大学(中国)の交叉信息研究院(IIIS)も研究成果を発表している。
    イオントラップ方式。といってもNISQのシミュレーターの話。
    FTQCは中国科学院(CAS)で研究してるらしい。
    コンピューターを作るより衛星を使った量子暗号通信に力を入れてるっぽい気もする。セキュリティの問題だろう。

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01502/060500128/

ところで日本は?

日本だって何もしてないわけじゃない。
してないわけじゃないだけど、実用化に向かってるのか基礎研究で満足しちゃってるかもやっとしてる。

✓産総研:競技場
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/02884/070800001/
✓理研:スパコン連携
https://www.riken.jp/pr/news/2024/20240510_1/index.html
✓分子研:冷却原子方式
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC272200X20C24A2000000/
✓富士通:アルゴリズム
https://pr.fujitsu.com/jp/news/2024/08/28.html
✓東芝:量子暗号
https://www.toshiba-clip.com/detail/p=10636
✓日立:シリコン方式
https://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2024/06/0617.html
✓NEC:量子アニーリング
https://japan.zdnet.com/article/35215777/

内閣府のムーンショット(目標6)ものんびりしている。「…頃までに」という表現が切ない。

・2050年頃までに、大規模化を達成し、誤り耐性型汎用量子コンピュータを実現する。
・2030年までに、一定規模のNISQ量子コンピュータを開発するとともに実効的な量子誤り訂正を実証する。

内閣府「ムーンショット型研究開発制度」
https://www8.cao.go.jp/cstp/moonshot/index.html

https://www8.cao.go.jp/cstp/moonshot/sub6.html

日本ではイジングマシンで量子アニーリングを使う方式の話があって、けっこう社会実装に近づいたような気がしている。
D-WAVEなんて世界を牛耳るんじゃないかと思っていた。

すみません。盛りました。

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01755/00002/

物流の最適化とか災害時の人流予測なんかの実験をやってた覚えがあるんだけど、どうしちゃったんだろう?
いわゆる「キャズム」かなと思ってたけどどうもこのまま立ち消えそうだ。
どちらかと言えば生成AIのお天気予報に目が移ってしまった。

根底には縦割りの行政と企業の過密の問題があると思っている。
大きな投資をする勇気はないんだから、こういう難しい話の時には「みんなー、なーかーよーくー」がいいんじゃないか?
それと「ハードがだめならソフトを作ったらいいんじゃない?」ってマリー・アントワネットだか誰だかが言っていた。

量子コンピューターはガートナーのハイプ・サイクルでは幻滅期から啓発期への移行時期に位置づけられている。
実現すれば必ずパラダイム・シフトが起こる。

https://atmarkit.itmedia.co.jp/ait/articles/2408/27/news051.html

どこの国でもいいや。
生きてるうちに見てみたいよ。

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