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人は、自分を惨めに思いたくないから人を神格化する

上記の本の一部を参照


チャンブリスは、一流の競泳選手たちの生い立ちや略歴を調べて最終的な成功をもたらした数多くの要素を垣間見た。
最も重要なのは、何千時間もの厳しい練習を何年間も積み上げてきたこと。
4年に1度のオリンピックでの成果だけをみてる視聴者にはわからない。
チャンブリスは成功するためには、人々が思っているほど大きな才能は必要ではないという。もちろん身体構造上の優位性は、トレーニングでは補えない部分があるから、皆がマイケル・フェルプスになれるわけではない。


マーク・スピッツは、1972年のミュンヘンオリンピックで、競泳の7種目で金メダルを獲得した選手。北京オリンピックでマイケル・フェルプスに記録を抜かれるまでは、金メダルの生涯獲得数で世界最多タイ記録の保持者だった。
彼が引退して12年経過していた当時、その時100M自由形の世界記録保持者のローディ・ゲインズと手合わせをしようという話になり、50Mの勝負を何本かやった。
ゲインズがほとんど勝ったが、半ばを過ぎたあたりからゲインズのチームメイトの全員がプールサイドに集まってスピッツの泳ぎに注目した。
その中の一人がマーク・スピッツを評価するようにこう言った「すごすぎる!彼は魚だ!」

チームメイトは普段、ゲインズがどれだけ練習に打ち込んでいるか、どれだけ優秀な選手なのかはよくわかっていた。だが、世代の違うスピッツとは、誰も一緒に泳いだことがなかった。
たったそれだけ。ミュンヘンオリンピックで、競泳の7種目で金メダルを獲得したことを知っていたのなら驚きはしなかっただろうが、それだけの結果を残していたということはそれだけ努力してきたということだ。
人は圧倒されると「才能がすごい」と思ってしまうのだ。

あまりに完璧なものを見た時、我々は「どうしたらあんな風になれるのか」とは考えない。
我々の虚栄心や利己心によって、天才崇拝にはますます拍車がかかる。天才というのは神がかった存在だと思えば、それに比べて引け目を感じる必要がないからだ。「あの人は超人的だ」というのは、「はりあっても仕方がない」という意味なのだ。

達人達は努力によって天才になったのだ。
彼らは皆、まず一つ一つの部品を正確に組み立てる技術を身につける。そうして最後に壮大なものを作り上げる。一つ一つの部品にじっくりと時間をかけるのは、細部を疎かにせず丁寧な仕事をすることに喜びを覚えるからだ。


◎今日の呟き
人は圧倒的な実力を見せつけられると、ひるむ。
私は絵を書くことと、歌を歌うことに関しては、両方共にプロを目指していた(と言っても十代の頃に若気の至りでだが)時期があるので、その辺の人達より上手くこなせる自信があります。
数年前、職場の上司と飲み会の席で歌を歌った時「歌の才能があったんだね!ちょっと感動したわ!」と言われ、世間話の流れで、Instagramで写実画を描いていることをある上司に話し紹介すると「これはちょっとしたもんだよ!続けた方がいい!」と言われました。
アパレルの専門学校に通っていた時も「才能があるんじゃないの?続けた方がいい」と言われたんですが、実はそうじゃないんですよね。
絵に関しては、小学生の頃、人が勉強してる間にドラゴンボールの登場人物を寝る間も惜しんでそっくりそのまま写取れるようになるまで、何度も繰り返し描いていたり、歌に関しては、ヒトカラが流行る前から独学で発声法なんかを学んで人知れず…ランキングバトルにチャレンジし続けてかれこれ2000回はカラオケに通っている訳です。
死ぬほど努力して、今メディアで活躍している人たちに叶わないからこそ「私は天才ではないんだな」と思って、プロを目指さないまでもしがみついているのが本人の実情だったりします。
今回の「圧倒されると対象を神格化してしまう」という点なんですが、私が周りからそう見られる経験があって、自分でそれを否定してるくせに、私は自分よりすごい人を見たときに「才能があっていいなぁ」と思っていたことに気付きました。
可能性を潰しているのはいつも自分なのかも知れませんね。
常識は多数決で決められます。常識に沿って生きていくのは自分で考える必要がないので楽です。だけど流され続けると、考える頭(能力)を失います。
そうなると、本来自分に合った別の方法があるのにもかかわらず従来の方法でしか解決策を考えようとしないから、解決できない自分を惨めにさせないために「あいつは俺らと別の生き物だから」と神格化してしまう。
原始人が、ライターで簡単に火を付ける現代人を見た時に「あいつは魔法が使える!」と人外化するのと同じですね。
こういった見方は、自分を守るための防衛本能だと思うので、避けられないのではないかと思うのですが。この先読んでいけば解決策が書かれているのか…期待したいですね。


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