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読書感想文~なぜ共働きも専業もしんどいのか~

我が家には乳幼児はいないし、夫も転勤で職住近接になり、これまで以上に家事育児に協力的。いわゆる「名もない家事」は我が家の場合は夫の担当です。(勝手に決めてる)

さらにフルタイムで仕事をしていてもリモート社労士の私は、通勤時間がない分、時間的には余裕があるはず。

にもかかわらず、正直「しんどい」...

私がヘタレで、家事育児が大好き!得意!というわけではないからというのもあるし、加齢もある。どこかで書いたのですが、1回の家事育児がしんどいだけではなくて、その継続がしんどい。両親とのこれからも含めて、家族を回す役回りであったり、逆に子どもの成長と共に変わる生活にいつもいつもアップデートしなければないのも、なかなかにハードです。

そこのところ「育休世代のジレンマ」の中野円佳さんが、めちゃくちゃ丁寧に「なぜしんどいのか?」を言語化してくれています。なんてありがたいのだ!

これね、渦中にいる人(私よりもっと子どもが小さかったり、ブランクなく産育休とりつつ頑張っている若夫婦は特に)にとっては、「よくぞここまで書いてくださいました」って思える内容です。

表紙にもある「主婦がいないと回らない構造」というところの「シュフ」とは、家族のコントローラーであり、たっぷり時間を使って頭と手足を動かせる人のことで。

単に共働きで時間がないから大変というだけではなく、”親世代も遠方だったり、介護をしていたり、現役だったりするからおばあちゃんリソースに頼れない”とか、”保育園に預けられない専業主婦の子どもつきっきりの辛さ”とか、”子どもの性格・性質、学校等との相性によって、親マターで何でも決められない”とか、”自分の親と同じように、子どもをしっかり見たいのに時間がない”とか、

今話題の”転勤族の問題”や”保育の質の問題”、個人的にとても力の入る”主婦の仕事は大半がパート問題”等にも切り込んでいて

どの内容も的確だし、リアリティーがある。本当に、世の中のみなさん、この本ちょっと読んでくださいよー。かなり良質なガイドブックですよー。

って思う。ただ、その一方で、私自身がよくいわれてきたのですが「あなたは転勤族で夫に稼いでもらっているからいいよね」とか、「好きで転勤族と結婚したんでしょ」とか、「国家資格があるから仕事できるんだよね」とか、「もう子どもが大きいから自由な時間があっていいよね」とか、「昔は誰も文句を言わずに家事育児をやってきているのにね(今の人は文句を言い過ぎよ)」とか

それから、結婚をして子どものいる多くの人は、正社員やフルタイムワーク志向ではなく(実際、育児中の女性の正社員就業率は同年代女性の25%以下といわれています)、もしそうだったとしても経済面でやむを得ずって人も多く、「好きで働いてるんでしょ」って思われたり

また、私自身が専業主婦であったとき、よく「夫と同じ世界で暮らしているのだろうか??」と思わずにはいられなかった、専業主婦の世界とビジネスの世界の交わらなさ、分断を思い出し。

なんか個人個人はきっとしんどいと思っていても、「しんどい」を周りに言いにくい状況があるのです...
そして、この中に書いてあることも、どうせわかってもらえないだろうな、って諦観みたいなものもある。

ですから、そうしたことが全部わかっていて、察するに著者自身も転勤族の妻であり、海外赴任に帯同していることから、多分葛藤を抱えながらも、ジャーナリスティックに真正面から「主婦がいないと回らない構造」に切り込んでいることは、本当に尊敬です。

そして、構造改革についてまで考察したこの本は、本当に多くの人に読んでもらいたいなと思います。

私自身は特にここが共感ポイントで

『家庭における父親の不在感と表裏一体で存在しているはずの男性への稼ぎ主プレッシャー~中略~「だって、夫だけに稼ぎ続けろというのは、負担が大き過ぎるから」「夫にとってストレスフルすぎる」』

本当に、この構造の表裏一体の問題を端的に表しているなぁと思います。

社労士的見地として付け加えるとすれば、とはいえ育児中のワーカーだけが優遇されるのではなく、若手も中高年も独身者もDINKSも、全体として構造改革が必要であり、いろいろと課題がないわけではないけれど、やはり「働き方改革」がその一助となるのではないか、とも思っています。期待を込めて








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