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たのしいぞ郷土資料館 北区「飛鳥山博物館」

サイトが大変良い情報量が多く興味をそそる。併設ショップ!カフェ!コン吉バッヂ80円!安い!!で、コン吉て誰。絵葉書20円ってタダ!もう、こんなのタダ!

訪問前の下調べの北区飛鳥山博物館の寸評である。千代田区日比谷図書文化館なんて「図書館併設 無料 撮影禁止」以上だかんね。北区に向ける異様なテンションがお察しいただけるかと。東京都でもっとも気になる郷土資料館のひとつだ。


1.施設概要

・施設名称 北区飛鳥山博物館
・営業時間 午前10時から午後5時
・入館料 300円
・休館日 月曜
・写真撮影 OK

「北区飛鳥山博物館」「紙の博物館」「渋沢史料館」の3館一体で飛鳥山公園内に1998年に新設された。

東京都の郷土資料館の入館料で一番高いのが江東区「深川江戸資料館」で400円(って、安いけどね)、300円というのは郷土資料館界隈では強気の価格設定である。

2.まずはホームページで予習

どんな郷土資料館面(づら)をしているのか。まずはホームページで予習していこう。

各ページは北区のサイトのフォーマットを踏んだだけの簡単なものだがトップページの作り込みがとてもいい。それで冒頭のわたしのテンションに至ったようだ。金はなくとも玄関は派手に!大事なことかもしれない。
飛鳥山博物館運営協議会・令和5年度事業中間報告によれば令和5年度入館者数75,157人 開館日数228日 
1日あたり330人
常設展示の観覧が14,273人 63人/日

運営協議会の議事録がおもしろくて読みこんでしまった。郷土資料館からダイバーシティ、SDGsにまで話が広がっていきスケールがでかい。

・役所のホームページはなかなか入ってきてくれなくて、多分どこの自治体も苦労しているところ
・北区飛鳥山博物館のホームページを拝見させていただきましたが、割と普通な感じがして・・・

北区飛鳥山博物館運営協議会議事録より

くぅぅ。わたくし絶賛のホームページでもまだまだ足りないか(なみだ)北区、結構気合の入っている方なんですよっ。
それにしてもこの議事録、委員のみなさんの北区への愛情があふれておりまして読んでいて図らずもあたたかい気持ちになってしまった。ハートウォーミングな議事録なんてのもがこの世に存在するとは。

3.アクセス

JR京浜東北線王子寺駅南口から徒歩5分、東京メトロ南北線西ケ原駅から徒歩7分、郷土資料館にしては珍しく好立地である。遠慮なく電車で伺うことにした。
だが・・・わたくし信じられないほどの方向音痴でして、駅の目の前にある飛鳥山公園へたどりつくことができず15分以上も駅周辺をさまよった。

戦犯は北区立音無親水公園

「なんだかそれ(公園)っぽい」というだけでこれを飛鳥山公園と思いこむのだから方向音痴というのは恐ろしい生きものである。

ようやくたどり着いた

4.外観と周辺環境

ようやっと飛鳥山公園に到着。
なんだ?なんだってこんなに上るのかね?!

(飛鳥だからです)

この公園いったいなんぞや?

徳川吉宗が吉宗の治世の当時、江戸近辺の桜の名所は寛永寺程度しかなく、花見の時期は風紀が乱れた。このため、庶民が安心して花見ができる場所を求めたという。開放時は、吉宗自ら、飛鳥山に宴席を設け、名所としてアピールを行った。

『ウィキペディア(Wikipedia)飛鳥山公園』

花見で羽目を外すのはいつの時代も変わらないのね。将軍さまが懸念するほどの乱れとは・・・そして首相が柿食って一句みたいなのは時代を超えて行われていた、と。

設計は佐藤総合
「みんなおいでよ!」コン吉がお出迎えしてくれる

コン吉て誰よ? それについては後述ということで。

5.いざ、入館

エントランスは2階部分にあり常設展示は階段を下りた1階だ。

意匠の渋滞、お金をたくさん使っていそうな建物だった

この博物館、音、映像、再現モノが豊富で方々から終始いろいろな音が聴こえてくる。

階段をおりると「豊島郡衙の正倉」がお出迎え
実物大で再現した律令時代の米倉だ

常設展のエントランス
「やや!今日もたくさんのおきゃくさまがおみえだぞ!」みたいなセリフから国司さまと農民のかけあいがエンドレスで流れる。エンドレスだ。
こんなもん いちにち きいとったら あたま おかしなるで
スタッフの自律神経が心配になった。

映像で見せる展示が各所にある
「石のナイフの作り方」
ステーキ肉が紙のようにさくさくと切れていてビックリした

吹き抜けの一番良いスペースに旧石器から縄文期の展示が堂々たる展開。
北区は武蔵野台地と有楽町層のちょうど境目に位置している。京浜東北線の南西側が武蔵野台地、北東側が有楽町層。縄文期には海っ端に位置していたため貝塚やら環状集落跡やらがドカドカ出てくるというわけ。
北区は「持っている区」なのだ。

中里貝塚からひっぺがしてきた標本はド迫力
この貝塚とてつもなくデカい
(推定長さ1km前後、幅70~100m、厚さ最大で4.5m)
牡蠣とハマグリの貝殻の大きいこと。おいしそうだ
どこからかおっさんがブツブツとつぶやく声が聴こえてくるので
不審者かと身構えたら「竪穴式住居」の演出だった
怖いて・・・
弥生時代の「底部穿孔土器」
墓に納める葬送用の土器でわざと底部に穴を開けているのだ

でた。この穴、はにわへ続く穴ではないか?
はにわの目が穴の理由、わたしは目を入れないことで個性を消して1体に100体の価値を持たせるためと想像した。

「わざと底部に穴を開けた副葬品の壺」
いくら水を注いでも満タンにならない「概念としての壺」を表現している?
例えば古代エジプトだと生前愛用していたものをそのまま墓へ持ち込むなど生の延長線上に死後の世界があったが、仏教伝来以前の日本は生と死は明確に分けていた?
はにわに目がない=生きていない
穴の開いた壺=生のあるうちは使うことができない
穴、はにわの穴、ますます気になる。

ま、理由なんてわかんないよ
のんびりいきなよ
ゆるいお顔に言われてどうでもよくなった
「赤羽台4号墳出土のはにわ」だ
武蔵野界隈の中世でおなじみの「板碑」と「太田道灌」と「熊野信仰」
「坊主めくり(太田道灌)」については
そろそろ理解を深めねば・・・
「名所王子・滝野川・飛鳥山」の展示ゾーン
徳川吉宗が1270本もの桜を植え庶民に開放した
ソメイヨシノの登場はまだ先(江戸末期)だ
ヤマザクラであることに博物館たる矜持を感じる
将軍御膳所・金輪寺(将軍の御膳所であった金輪寺の座敷を再現したゾーン)
王子名物の玉子焼きサンプルを押すと動画がはじまる謎仕様

講談風あり一休さんの和尚さん役のナレーションあり力の入った映像展示だった。それにしても玉子焼きがスイッチとか最高に狂っているぞ!(絶賛)

上様よりのお達し「ここに入るべからず」
わたしこういうの好きです
さいご「荒川の生態系」
ゴルフボールを咥えるカラスの芸が細かいじゃないですか
謎の白キノコも雷雨後の公園でよく見るし。再現度すごい笑

6.キャッシュレス決済対応!

おーっと!キャッシュレス決済施設ではございませんか。2023年10月から導入開始。

折角なのでSuicaで払ったらスタッフさんがちょっと焦っておられた。ごめんなさい。

7.由緒正しきマスコットキャラクター「コン吉」

で、コン吉て誰? である。

ミュージアムキャラクターアワード2023にエントリー
みごと4013票かくとくだ!

博物館があるエリアには古くから有名な王子稲荷があり、大晦日には稲荷神の使いのキツネが集まるところとして知られていました。
コン吉は王子に生まれ、飛鳥山を遊び場にして育った由緒正しいキツネ。博物館を訪れては、化けたり化かしたり、いたずらをしていましたが、職員におこられ改心し、博物館のマスコットを務めて館をPRすることになりました。
誕生日:3月27日
年齢:ひみつ(1男1女のパパ)
性格:活発で好奇心旺盛
好きな食べ物:玉子焼き、いなりずし
趣味:お花見
特技:缶バッジづくり
目標:北区のNo.1マスコットキャラクターになること!

ミュージアムキャラクターアワード2023掲載のコン吉プロフィール

2児の父がいたずらして歩き回っていたら職質どころでは済まない。一家の長としての責任が芽生えたのではないかとわたしはおもう。しのぎは缶バッジか。

語尾が「コーン」とかやばいし

80年代のファンシー絵みやげのようなコン吉のイラスト、たまりませんな。
「ASUKAYAMA HAKUBUTSUKAN」などとローマ字でかいたタペストリーやキーホルダーがありそうな雰囲気。
デザイン・設定ともに「ゆるキャラ」のド真ん中をいくすばらしいキャラクターだ。コン吉はこのビジュアルだからこそ価値がある。色気を出してキャラ変などせず、このままのコン吉を貫いてほしい。

8.ミュージアムショップは充実のラインナップ

や、や、、安すぎやしないか!?浮世絵はがきが1枚50円、展示資料の絵葉書に至っては1枚20円だ。カプセルトイのコン吉グッズだけは1回300円とややお高め(いや、常識的なお値段なんですけどね?)だが、きっとコン吉のしのぎなのだろう。

コン吉のぬいぐるみやポチ袋なんてのも売っているよ
グッズ一覧はホームページに掲載がございます
浮世絵はがきを2枚(50円×2)やっす!

コン吉缶バッジ(80円)やっす!!
を買った
「KITAKU ASUKAYAMA HAKUBUTSUKAN」って
ローマ字でかいてあるキーホルダーとかありそう笑
って、本当にあった。
MUSEUMなのが惜しい!

9.併設カフェ「カフェ・ヴァーチュ」

施設3階に喫茶店あり
名物のおはぎとコーヒーのセット 700円

おはぎとコーヒーって合う。コーヒーもマイルドで熱々でとても美味しかった。

10.最後に

北区 飛鳥山博物館は「よくしゃべる」施設。
観る・聴くギミックが盛りだくさんだ。ひとつひとつのクオリティもとても高く訪問前のわたしの異常なテンションのさらに上をいく見ごたえだった。

すげー施設なのに拍子抜けするほど紙媒体がしょぼい
コレ「練馬区立 石神井公園ふるさと文化館」と酷似している
何かあるのか?!

「すげー施設ほど紙媒体はしょぼい説」あるのか?

歩道橋から路面電車に見惚れる
わたしの住む町では見ることのできない光景だ
王子神社に寄り道して帰った

北区には縁もゆかりもない。
だが
こんなにおもしろい施設なのに!
もっとみんなに来て観てもらいたい!!
わたしも飛鳥山博物館運営協議会の一員になったかのごとく郷土愛をバリバリに醸成された。そんな施設だった。

北区 飛鳥山博物館、たのしいよ。是非!