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たのしいぞ郷土資料館「清瀬市郷土博物館」

豊島区立郷土資料館を訪れたその足で西武池袋線に乗り清瀬市郷土博物館をはしごだ。ついに東京都の市部へ進出だ!


1.施設概要

・施設名称 清瀬市郷土博物館
・営業時間 午前9時から午後5時
・入館料 無料
・休館日 月曜
・写真撮影 OK

2.まずはホームページで予習

どんな郷土資料館面(づら)をしているのか。まずはホームページで予習していこう。

清瀬市郷土博物館サイト

すごい。ジオシティーズをほうふつとさせるホームページの登場だ。これまでとは異なるベクトルでしょぼい(失礼な)・・・だが情報量は群を抜いている。そういう意味でもおおいにジオシティーズみがある。

特に「インターネット博物館学芸員室」のページの熱量たるや凄まじく重量感のある資料が多数掲載されている。どれ、ひとつ読んでみようか。
天保八年 伊勢西国道中記覚「飢饉のさなか、江戸時代の天保期に諸国の寺社へ詣でた農民の姿を現代から追う壮大な旅。」
壮大なタイトルにひかれてPDFを開けたらなんと全638ページ。京極夏彦ばりのボリュームに慄きそっと閉じた。
しかし郷土資料館ウォッチャーを自称するからにはひとつくらい読まねば示しがつかない。近世史より『戦乱の終焉から幕政下の村々』というのを読んでみた。こちらも全68ページあった。再現VTRならぬ再現小説がちょいちょい挟まれていて独特なクセがあるのだが、他の資料館の文書もこういうものなのだろうか。気になる。

3.マスコットキャラクター「ひいらぎちゃん」

受付でお出迎えしてくれる

平成24年公募にて選出、清瀬に伝わる「ひいらぎ伝説」に登場する柊の木をモチーフにしたキャラクターだ。
で、このひいらぎ伝説というのは博物館近くにある日枝神社に由来しているそうなので帰りに寄ってみることにする。

ひいらぎちゃん、めちゃくちゃライトなかんじで”清戸下宿村の沼に棲む大蛇”に乗っかっちゃってる。キュートな見た目に反して豪胆ガールだゾ☆彡

ホームページからひいらぎちゃんのぬりえシートがダウンロードできたので
豪胆かつキュートなひいらぎちゃんをわたしなりに解釈して迷彩柄で塗ってみたゾ☆

やりだしたら止められなくなるタイプ

4.アクセス

西武池袋線「清瀬駅」北口より徒歩約10分。郷土資料館的では良いほうの立地だ。ホームページでは清瀬駅北口から博物館までを「アド街ック天国」的な早送り動画を作成して案内してくれている。逐一手のこんだことをやってくれるではないか。

大きな看板が出ているから安心だ

ま、駅からはけやき通りをまっすぐなんで迷わなそうですけどね。気持ちが大事!

5.外観と周辺環境

東京も清瀬までくると畑が広がり空も広い。またウーハーをきかせた車高の低い軽自動車が複数往来するなど都内ではあまり見かけない風俗を確認し、ここはもう埼玉なのだなと感じ入る。

正面に農地が広がる場所に清瀬市郷土博物館はあった。

6.いざ、入館

展示スペースは1階、大きく開けた展示ホールと歴史展示室・民俗展示室の3つの部屋からなる。

部屋の右手に縄文土器など
中央は養蚕について特集した展示があった
左手には郷土資料館の定番「むかしの道具」展示
古いラジオや扇風機や黒電話など

展示構成が少し変則的で、展示ホールに縄文期の展示それ以降は歴史展示室に展開する。

反時計回りの順路で「古代」「中世」「近世」「近代」と日本史の4区分に分けて展示が進むとおもいきや・・・

板碑をみつけると安心する

「近代」のところが「結核」!!
東京都の近代史は関東大震災からの太平洋戦争が鉄板。そこに「結核」の変化球がきた。
清瀬市は「結核」
結核療養の地だったことをこの郷土博物館を訪れてはじめて知った。

公立の結核療養所「清瀬病院」の開設から
清瀬市の結核療養所タウンとしての歴史がはじまる

結核療養方針は”一にも安静、二にも安静” 何もするな食ったら寝ろ!これに基づく患者の1日のタイムスケジュールなどを見ることができる。退屈死しそうな時間割だった。面会謝絶!安静地獄!安静の大獄である。

いちばんのお気に入りは結核予防会発行の啓蒙冊子
結核菌キャラ「結核菌太」の憎たらしさよwww

民俗展示室では明治から昭和初期にかけての養蚕まわりを中心とした清瀬の農村生活を示していた。

中庭へ出て進むと古民家再現コーナーの伝承スタジオへアクセスできる

この扉「重い」というレベルではない重さだった
無酸素運動のレベル
年寄りやこどもが締め出されたらまず無理

訪問時には清瀬駅開業100周年ということで当時の駅舎を再現していたぞ。

多分そんなにお金をかけた演出ではないのだが作り方がうまい。トップの写真の引き戸の向こうにいかにもホームがありそうだった。

7.謎の文化財カードと「まえはらきよしくん」

どうやら世の中には文化財カードなるものが存在するらしい()そして写真の右手にいる朴訥とした青年(土器ですが)が清瀬市文化財コレクションカードとなっている野塩前原遺跡出土の有孔鍔付土器「まえはらきよしくん」だ。

施設の公式キャラクターは「ひいらぎちゃん」だが「まえはらきよしくん」も徐々に幅を利かせている雰囲気がある。ツー・トップでいくのかもしれない。
厳密には文化財カードなるものが存在した。2024年8月に公式団体としての文化遺産カード事業は終了している

8.精力的なグッズ展開

てづくり感漂う「ひいらぎちゃん&きよし消しゴム100円」に手が伸びるも、冷静に考えると消しゴムを使う機会などなく思いとどまった。大人は字を消さない。

個人的に注目したのは「野塩地域遺跡群出土の灰釉壷キーホルダー200円」である。メタルバンド調ロゴ(KORNかとおもったぜ!)の攻めたキーホルダーだ。

わたし、家に無駄なモノ(さらりとディスって申し訳ない)を置きたくないんですよ。UFOキャッチャーもカプセルトイもいずれはゴミというタイプの人間。なのでオリジナルグッズをみつけると郷土資料館ウォッチャーとしてはおおいに胸高鳴るも・・・ゴミが増える・・・(重ねて申し上げるがディスってすみません)購入に踏み切れず、帰ってから後悔している。

郷土資料館全国制覇を夢みるわたしだよ?
同じ施設をリピートする余裕なんてない。一期一会だ。
よってここに誓う!
今後は郷土資料館でオリジナルグッズを見つけたら必ずひとつは購入する!

9.併設カフェ「わかば」はお食事も充実

良さげな喫茶店もございますよ。コーヒー1杯350円、2杯目は200円なり。長居しても大丈夫ですよという優しさがおかわりに溢れている。

10.日枝神社

年明けすぐの訪問だったので初詣のひとたちでにぎわっていた。

絶望的に信心が足りないわたしは
この輪っかのくぐり方が分からず
そっと鳥居の外側をくぐった
ヤマトタケルノミコトが休んだとされるひいらぎの木
「ひいらぎちゃん」の由来となった木でもある

11.寄り道はスーパー「サカガミ」

聞いたことのない名前なので調べてみるとモノが良いと高評価なスーパーらしい。わたしスーパー巡り大好きなんですよ。今回の寄り道はここで決まり。

「成城石井みのあるオオゼキの上位互換スーパー」という感じ。まず品揃えがすごい。ドレッシングコーナーなんか見たこともない商品が大量に並んでいて圧巻。わさびドレッシングだけで何種類もあった。そしてクオリティも高い。インストアベーカーリーはスーパーのレベルではないし、自社ブランドのハムやソーセージも扱っている。なんて楽しいスーパーなんだ。最高か!

郷土資料館グッズの購入はためらうくせに
食べものはがっつり買う

広島のくにひろ屋「洋酒ケーキ」これ食べてみたかったやつなんですよ。広島へ行かなきゃ買えないのだとおもっていたよサカガミさま!(なみだ)

ラム酒とシロップがたっぷり染みて
ジュワっとするカステラ
背徳的なおいしさ
また食べたいよー!

12.最後に

清瀬市郷土博物館、マニアックな郷土資料館だ。ホームページにも現地にも並々ならぬ熱量がある。ひいらぎちゃんとまえはらきよしくんのこれからの活躍にも期待してしまうし、ホームページ掲載のクセ強な資料も癖になる面白さがある。

パンフレットが
A4コピー用紙のカラー印刷を
三つ折りしたものだった。泣いた

ハコモノとペットは同じだ。迎えた(建てた)からには永続的に責任を持ってほしい。ちょっとそんなことをおもう施設でもあった。
ストレートに清瀬市は清瀬市郷土博物館にもうちょっと予算つけてあげてくださいということです!
こういう限られた予算で工夫を凝らす郷土資料館を愛でるのがたのしかったりもするのだが、伝承スタジオへ行く中庭のガラス戸は可及的速やかに補修した方が良いとおもう。
清瀬市郷土博物館、たのしいよ。是非!