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たのしいぞ郷土資料館「品川区立品川歴史館」

今回もはしごをして品川区と大田区の郷土資料館へ行ってきました。
品川区と大田区はどう見積もっても兄弟だろう。おまけに2つの施設ときたら直線距離で2kmほどしか離れていない。類似性もなにも何か違いが出せるのか心配ですらある。

さて改めて品川区を見てみると
わたしが品川区だと思っていた品川駅は港区だし、わたしが目黒区だと思っている目黒駅は品川区だった。なんなら田町も品川区とおもっていたふしすらある。わたしが品川区だと思っている場所はことごとく品川区ではない。品川区とは一体。いや、わたしって一体・・・


1.施設概要

・施設名称 品川区立品川歴史館
・営業時間 午前9時から午後5時まで
・入館料 100円
・休館日 月曜
・写真撮影 フラッシュNGで撮影はOK(のはず)

品川歴史館は、郷土資料の保存と活用、区民文化の向上を目的に1985年(昭和60)に開館しました。
令和4年からは開館以来初となる施設全体の大規模改修工事のため休館し、令和6年4月にリニューアルオープンしました。
資料と模型、映像が融合した常設展示室では、原始・古代、中世、近世、近現代の4つの時代区分で品川の歴史を学ぶことができます。

品川区立品川歴史館

2.まずはホームページで予習

どんな郷土資料館面(づら)をしているのか。まずはホームページで予習していこう。

やるじゃないか!品川歴史館の専用サイトがある。ほどよいお堅さなサイトデザインは郷土資料館らしくて好ましい。

なにやらこの縄文式土器がご自慢な様子だが?
(イエローハットではない)

推されるこの縄文式土器は一体なんでしょう?
これを「縄目大蔵(なわめ・たいぞう)」などと名乗らせて擬人化しないところが品川区の端正さだとおもう。
いや、有孔土器を擬人化した「まえはらきよしくん」(清瀬市郷土博物館)をディスっているわけではないぞ?あれはあれで大変良いものである。

ひととおりサイトを見たがこの土器の来歴は不明なまま。こいつは現地要確認だ。
来館者数についての資料は見つからなかったが、リニューアルに際しての目標来場者数は年間2万人と出てきた。300日営業として1日当たり65人程度を見込んでいる。達成できない目標は立てないのが組織というもの。昨対比120%としてリニューアル前は1.5~6万人で推移してきたと推測する。

常設展示は日本史の4区分で展開する模様。
おいおい、えらいつながりたがるなおい!

そして今日 — わたしと品川区がつながる —
あれ?いいんじゃない?!

3.アクセス

大井町と大森駅のちょうど中間地点にある。大井町駅からは徒歩15分・1.2kmだ。最寄り駅から2キロ以上離れると俄然”郷土資料館度”が上がってくるが15分程度では何も思うところはない。しかも大井町だし。四の五の言わず歩けってんだ畜生め(大河ドラマにかぶれている)

4.外観と周辺環境

デカイ。想像していたよりもデカイ。めちゃくちゃ立派。しかもこの屋根ってば瓦葺きなの。ゴージャスだ。昭和の品川区には石油でも湧いていたのだろうか。

印象的な三角屋根は何を意識しているのかしら、蔵?もの言いたげな外観は中野区に通じるものがある。

またこちらの施設、安田財閥である安田善助の邸宅跡地に設立されたとのこと。寄贈なの?寄贈地パターンの郷土資料館といえば渋谷区と中野区がございまして。いずれも施設名には寄贈者の堂々たる冠がついているのだ。
渋谷区:白根記念渋谷区郷土博物館・文学館
中野区:山崎記念中野区立歴史民俗資料館
※「崎」は正しくは「大」の部分が「立」です(原文まま)
対する品川区、表向き寄贈を伺い知ることはない。財閥ともなれば名声は得るものではなく生まれながらに備わっているということだろう。

5.いざ、入館

んじゃ、ま、わたしと品川区、つながらせていただきやしょう!
(大河ドラマにかぶれているのだ)

上部の巨大スクリーンをはじめワクワクするギミックとジオラマの数々。リニューアルしたぜ!という勢いのある展示がたのしい。

病院の検査機器のようなメカメカしい風貌のコレ
4分半にまとめた品川区史を観られるプロジェクターである
「妙国寺絵図」を高画質でズームできる展示
江戸図屏風
将軍さまを探すのにめっちゃ時間かかった
ウォーリーか!
要所要所で細かなポイントを突いた
お手製のTIP的な解説が添えてあるところに
愛をかんじる
板碑、ヨシ!

東京都の郷土資料館における近代史の鉄板は関東大震災と太平洋戦争だ。品川区も震災と戦災からの復興を見せている。

が、そうきたか!
空襲の激しさを表す展示がなんと貝塚の剥ぎ取り標本。貝塚のすぐ上に空襲の痕跡を残す溶けたガラス瓶や割れた土管が山積している。品川らしい展示手法でおもしろい。

いたー!おまえかー!縄目大蔵発見!

正式なお名前は「深鉢形土器」といいます

なになに?大森貝塚遺跡庭園のモース像にも用いられているだって?!
大蔵め(もう大蔵呼ばわりである)品川縄文土器界のセンターというわけか。ちなみに「大蔵(たいぞう)」はこちらの施設の外観から来ています。いや縄目大蔵じゃないし。

2階の展望デッキ
ちょっとフカフカした椅子があってほの暗くて
まったりするのに良いスポットです

大型スクリーンでは毎時05/25/25分に13分間の「江戸歴史絵巻」というアニメーションが上映される。常設展示の内容とアニメーションとがうまくリンクしているし疾走感のある映像がたのしい。2階の展望デッキから観られるぞ。

訪問時には海苔の特別展をやっていた。順路前半の文書や歴史がちょっと引くほど細かくて地味におもしろかった。

コナンの犯人が海苔船に乗っていた

海苔の養殖に使用していたべか船の演出は「江戸川区郷土資料室」に軍配ありですなぁ(にやり)などと「自称:郷土資料館ウォッチャー」がキモイ目線で楽しんだ。

6.グッズ販売あります

前回の清瀬市郷土博物館の訪問でわたしは誓った。
オリジナルグッズは絶対に買う!

絵はがき、クリアファイル、一筆箋など販売しているよ。

ふせん200円、ポストカード50円

品川区ふせんをお買い上げ。ここにも縄文土器の縄目大蔵がいた。
ちなみに会計はしれっとキャッシュレス決済に対応している。リニューアルの風を感じた。

7.大森貝塚遺跡庭園

品川歴史館から400メートルのところにある。戦隊モノの悪の組織が出てきそうな不思議な雰囲気の公園だった。

いたいた大蔵がいたよ。

博士の腕に抱かれた大蔵は
なんだか誇らしげでした
モース博士が秋元康に見えてくる
園内にも貝塚があった
貝塚で見る貝ってどれも大きいよね
醤油と缶ビール片手にタイムスリップしたい

8.より道は和菓子屋「相州屋」

このあとは大田区郷土博物館をはしごする。歩いて向かう途中にある和菓子屋さんに寄ってみた。

ショーケースの6割はおにぎりやおこわや寿司
和菓子はおはぎやだんごや草餅など素朴なヤツが並ぶ

海苔の企画展を見てきたので口が海苔。おにぎりを買う。かんぴょう巻きは1つ60円。歯切れのいい海苔が良き。おいなりさんは大ぶりで食べ応えがあるし、山菜おこわのおにぎりもキリっとしたしょうゆ味がおいしかった。

なんだかもう
この佇まいだけでも美味しい

こういう和菓子屋さんって絶滅危惧種だよね。食べられるうちにたくさん食べておいた方がいい。

9.最後に

品川歴史館は編集力が抜群だ。常設展示をひと回りしたのち、おさらいとして「品川絵巻」を観る。そうすると品川区の歴史を完璧に理解できた気分になる。品川区史があたまに注入される感覚があって、まさにわたしと品川がつながった。ここまできれいにまとめてくる郷土資料館はなかなかない。

紙媒体は控えめ
「すげー施設ほど紙媒体はしょぼい説」
やっぱあると思います!

建物を出た瞬間、夢から覚めたような感覚。完璧に理解したとおもったんだけど、馬鹿だから一瞬で忘れちゃうんだな・・・つまり何度行っても新しい感動を得ることができるてぇわけよ!
品川歴史館たのしいよ。是非!