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たのしいぞ郷土資料館 墨田区「すみだ郷土文化資料館」
東京国立博物館のはにわ展のはしごで郷土資料館です。上野の東京国立博物館だから台東区の郷土資料館じゃないの?って?
ノンノン
台東区の「下町風俗資料館」は令和5年4月から休館、リニューアルオープンは令和7年3月を予定しておりますのよ。
ということで今回はとなりの墨田区「すみだ郷土文化資料館」へ行ってきました。前回の江戸川区に続き埋め立て御三家(江東区・墨田区・江戸川区)です。
1. 施設概要
・施設名称 すみだ郷土文化資料館
・営業時間 午前9時から午後5時まで
・入館料 100円
・休館日 月曜・第4火曜
・写真撮影 NG(まさかのNG!)
区では、長い歴史と伝統を持つすみだの郷土文化を後世に伝えるとともに、貴重な歴史・民俗資料等の収集・保存・活用を図り、地域文化の一層の発展と、区民の知的・文化的創造力を育む活動に応えていくための拠点として「すみだ郷土文化資料館」を建設、平成10年(1998)4月12日に開館しました。
2.まずはホームページで予習
どんな郷土資料館面(づら)をしているのか。まずはホームページで予習していこう。ホームページは区の公式サイトの間借りという郷土資料館らしい省エネスタイルなのだが、その中でも上位に位置する省エネタイプと言っていい。まともな展示情報が得られない。一体何を見せてくれるのか期待の高まる仕様だ。
展示情報は霧につつまれているが入館者推移は平成10年度からガッツリ公開されている。無駄にグラフ化してみた。
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年平均13,500人、1日あたり45人は文京区と同水準。
唯一2万人超えした平成15年度には一体何があったのか。スカイツリー竣工は平成24年だが目立った変動はなかった。
なお「すみだ北斎美術館」も区立施設なのだが令和5年度来館者数は159,112人。ハイ10倍。
北斎美術館はかねてより行きたいとおもっていて未だ行けずじまい。え、一緒に行けばいいのにって?「ほえー北斎しゅごて。すみだ北斎美術館てばしゅんごい」ぜったいこうなるじゃないですか。すみだ郷土文化資料館が霞んでしまう(なみだ)また日をあらためて伺います。
キャッチコピーみっけ!「ふるさととの出会い、ときめきへの旅。」
いいよいいよ!郷土資料館ウォッチャーとしてはこういうのが欲しいのよ!
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この施設大規模修繕を実施して2023年3月29日に再オープンしている。このタイミングで新たなロゴマークなどが作成されたそうだ。「ふるさととの出会い、ときめきへの旅。」キャッチコピーは?キャッチコピーはいつから?開館当初1998年から?2023年なの?気になる!
3.アクセス
都営浅草線「本所吾妻橋」駅から徒歩8分または東武伊勢崎線「とうきょうスカイツリー」駅より徒歩7分。
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言問通りを3.5kmを歩いて行くことにした
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良い道のりだった
すみだ郷土文化資料館が霞むからと北斎美術館は自粛して東京国立博物館の「はにわ展」のはしごはいいのかって?相手は国だかんね。いいんです。
4.外観と周辺環境
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バルコニーや入口横の外壁には浮世絵をモチーフにした装飾画やバナーなどを配し、地域の歴史や文化を感じられるような外観としました。
ところでこの界隈 江戸時代は何があったんじゃい?
施設どんぴしゃは草っぱらかなにか、隣は水戸様の下屋敷だ。時代小説で登場する「小梅村」や「須崎村」の文字も見える。時代小説のはなしだがまさに資料館のあたりに居眠り磐音の道場があったみたい。
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5.いざ、入館
それでは いざ、ときめきの旅へ!・・・と、まさかの撮影NG!
1, 2階の常設展は撮影禁止、3階の企画展はOKとのこと。よって常設展示については完全にわたしの記憶だのみとなっております。
外観の浮世絵装飾から江戸時代以外は袈裟切りにいくとおもいきや、1階は郷土資料館の基本に忠実にどの時代もとりこぼさない展示構成をとっていた。
墨田区の歴史は古墳時代にはじまる。といっても江戸以前の墨田区はすみだのS程度にしか陸地はない。北部にちょっぴりの土地があるほかは河川か海の中だ。陸がSしかなくても墨田区だぞ!紹介するんだぞ!意気込みの感じられる展示となっていた。
奈良時代はこのSほどの陸地に50世帯1119人だったか1190人だったかが住んでいた。当時の戸籍が正倉院に残っている。
江戸時代に入ると開拓が進み陸地が増えていく。中世までは地図に落としこんだ展示パネルがあるが肝心の江戸時代がない。江戸以降どのような具合に陸が増えていったかは詳しく地図で見せてほしかった。(撮影できなかった恨み節でしかない)
太平洋戦争においては焦土と化し終戦時の人口は戦前の25%にまで減少。25%減少ではない75%減少だ。
この数字にショックを受けつつ2階へ上がると墨田区で戦争を経験した方々が描いた東京大空襲の絵と体験談が展示されている。どう感想を述べても陳腐になるが、不穏でしかない今、この資料を見られてよかったとおもう。
2階のもうひとつの展示は墨田区名物の桜並木「墨堤のにぎわい」のジオラマ。ついに江戸かとおもいきや舞台は明治初期なり。これがなかなか凝ったつくりで朝から晩へ照明が変わり花見の喧騒の音声が流れる。夜は屋台に提灯が灯り三味線のしらべに隅田川に浮かぶ屋形船にも宴会をする客のシルエットが。ジオラマ人形には墨田区ゆかりの文人(永井荷風とか)なんかも隠れているらしい。
3階は企画展示「学校連携展 すみだの昔のくらしと道具」
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「昔の道具系」は定番ですね。展示物が入手しやすいのと「ァラ懐かしい!うちにもあったヮ!」なんて盛り上がるのだろうね。実際わたしもがガスの炊飯器懐っ!ってなった。
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地元の高校でのワークショップを経て生徒がアウトプットしたパネルが展示されていた。郷土資料館=地域の歴史なので対象は小学生という認識だったが高校教育にも活用できることを示している。「調査して編集する」この能力って社会に出てからめちゃくちゃ必要なスキルだ。
6.よりみちは 長命寺の桜もち
絶対ここ!「和菓子 長命寺桜もち 山本や 押上」
時代小説を読んでいるとおもたせで頻繁に登場する長命寺の桜もち。いつか食べてみたいと思っていた。300年間桜もち一本で勝負している。
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桜餅は断然道明寺派で小麦の皮なぞ認めぬと生きてきたが長命寺はまったく別なおいしさがあった。
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お茶も加減がよくておいしかった
お店が首都高の真下にある。車が上を通るたびに店のガラス窓がガタガタ震える。これが風情がないようで300年もやってりゃいろいろあるさとしみじみとしてしまい逆に風情がある。
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大判の葉っぱ3枚に包まれていて
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葉ははがして食べるのが流儀
7.最後に
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戦争展示が撮影NGなのは当然として、ほかはこのご時世お堅いことは言わず撮影OKでいいじゃないのなんておもうのだが・・・
1階のお手洗いがまさかの和式。大規模修繕にしれっと入れ込めそうなものだがダメだったのかい?!そういう意味でも実直な施設なのだろう。
すみだ郷土文化資料館、江戸しているようで全然江戸していない郷土資料館だ。江戸だけじゃない墨田区を知ることができるよ。是非!