とっても小さなフミちゃんは、おかっぱ頭の小さな女の子。
すっぱだかの人形と、ドレスを持ってきて、着せられないから直してよおばちゃん、と寄ってきた。
ここのおうちにいくと、すっぱだかのお人形さんが足を前後に180度広げ、さらに両手を上にあげた状態で、お出迎えされることがある。ちょっとびっくりして笑ってしまう。
おばちゃんとしては、小さな子のかわいい要求には即応えたい。
ドレスのそでを直してあげて、いざ着せてみたら、デザインが少し変わったために、お人形さんのおっぱいが飛び出てしまった。
「およめさんがおっぱい出ちゃうといろいろ問題あるから隠さないと。もうちょっと直すね」
とわたしがいうと、フミちゃんは
「いいんだよ。これで。およめさんはおっぱいでてるよ」
と言う。
「それはおかしいでしょ。おっぱいは見せちゃだめだよ」
というと、フミちゃんは顔が破れそうなほどお口をあけて、大笑い。
「おっぱい、だすよ。だすの!」
「そうなの?フミちゃん。そりゃ大変なことだよ。こればっかりはおばちゃんは『そーかそーか』って言えないよ」
と言ったら、フミちゃんはますますわらった。そして
「おっぱいはだしておいてね」
という。
節度あるおばちゃんは、ドレスの胸元に小さなギャザーを寄せて、お人形さんの胸元を守った。
フミちゃん、できたよ、と言うと、フミちゃんはとてもうれしそうにそのドレスをお人形さんに着せて、ママに見せにいった。
お人形さんのおっぱいは、たわわに二つ、見事に隠されていなかった。
フミちゃんがみたお嫁さんの胸元は「出てる」と感じるくらい、すばらしい谷間だったのだろう。たわわな、たっぷりとしたすてきなものがそこにあったにちがいない。それが恥ずかしいとかみっともないとかマナー違反ということではなく、ただただおっぱいがそこにあり、強烈な印象としてフミちゃんの記憶として残った。
「たわわ」「たっぷり」
この二つの言葉は、なみなみのおふろにジャッポ~ンと体を沈めていくような、溢れかえる贅沢感をいつも感じる。好きな言葉。
「た」という文字に秘密があるのか。「たから」「だいすき」「足る」・・・ちょっと無理があるか・・・。
「たらこ」。これはわたしの大好物。ってだけの話。
フミちゃん、という名前がかわいくて、ときどき意味なく「フミちゃん」と口のなかで発音してみるのだけど、そのたびにたわわな胸と深い谷間が頭をよぎるようになってしまった。
こまったね(笑)