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アメリカ留学を振り返って-Memorable Teachers(その7-3): Georgetown University Ph.D. Program in Linguistics,1974 (分割バージョン)

表紙写真 Georgetown University の校章(Georgetown University Yearbook 1974)


1974 Summer Sessions

アメリカ留学を振り返って-Memorable Teachers(その7-2): Georgetown University Ph.D. Program in Linguistics,1974 」の続き(その7ー3)です。留学7年目の1974 Spring Semesterもって1973-1974 Academic Year(学年度)が終了し、5月中旬から8月末までほぼ3か月の夏季休暇に入りました。その間の5月中旬から7月中旬にかけて2つのSummer Sessionsがあり、筆者は、

Bilingualism(Session 1)
Contrastive Analysis(Session 2)

を履修することにしました。

Summer Schoolで履修したContrastive Analysis(561)とBilingualism(531)

Summer School 前後の2つのsessionsで一つずつ履修した記憶があります。Washington D.C.の夏は耐え難いほど蒸し暑く、授業は暑さが少し和らぐ午後6時から始まりました。6時と言ってもDay Light Saving Time(夏時間)で、実質は1時間早い夕方5時なので陽は高く、耳をつんざく蝉時雨の中、昼間の熱気は建物の赤レンガに染み込み幾分か残っていました。

両授業とも担当はRobert J. DiPietro先生です。イタリア系アメリカ人で、クラシック・ギターの名手でした。先生の研究室で学生秘書をしていた同じくギター名手であるJackieの話によると相当の腕前のようでした。元ボクサーであったことを証明するかのように、中肉中背の体はがっしりしており、ヒゲ(moustache)を蓄え、気さくでとても愛嬌のある先生でした。

Contrastive Analysisは諸言語の構造上の差異・類似に焦点を当てます。しかしながら使用テキストのLanguage Structures in Contrast(R. Dipietro. 1971. Newbury House)は非常に荒削りで間違いだらけ、筆者自身も幾つかのミスを指摘したことがあります。

もっとも、先生はミクロの言語能力の構造(competence)には興味はなく、マクロの言語使用(performance)における話者同士のやりとりに見られる方策(strategic interaction)に関心を持っていました。よって、テキストをそそくさ終え、Bilingualismの授業で使う教材資料を配布し、様々な言語・文化におけるcommunication strategiesとそのシナリオ(scenarios)の比較対照に視点が移って行きました。

これら2つの授業はどっちがどっちか分からなくなってしまったように記憶しています。先生が特に関心を寄せたのは、bilingual、trilingualの留学生が普段使うコミュニケーションstrategiesでした。

後に出版された代表作Strategic Interactionsには、これら2つの授業で受講者から集めたscenariosが引用されているものと思われます。これらの授業での筆者ら留学生は受講者であり情報提供者(informants)でもありました。特に、アメリカ文化の影響が少ない到着したばかりの留学生が提出するscenariosは大変貴重であったと思われます。(*10)

一方、筆者のようにアメリカ滞在歴が長いbilingualの留学生は、母語と英語を使い分けるcode switchingでのstrategiesとscenariosを提供し、耐えず活発なdiscussionが交わされていました。これら2つの授業の成績はどちらかというと余裕のAでした。

先生は、社交辞令を嫌い、気さくな性格で、いつも軽装で、Georgetownの街を小さなFiat 500(*11)に、180cm/90kgのがっしりした体を丸く縮めるように納め、窮屈そうに運転する姿を見かけました。筆者らに会うとピッピと警笛を鳴らし、手を振りながらニコッと走り去って行きました。


Foat 500 “List of Passenger Cars” Wikipediaより。

1980年代になるとUniversity of Delawareに移籍し、何度か来日していたようで、ある研修会で講師をされた直後に連絡を受け、会食したことがあります。相変わらず歯に衣着せぬ饒舌ぶりは健在で、GU時代の裏話を聞かせてくれたものです。

Summer Schoolが終わると1ヶ月余り休息


7月中旬過ぎにSummer Schoolが終わると、キャンパスからは学生の姿は消え、夏季英語短期研修の日本人の大学生と入れ替わります。筆者は、西海岸に帰省するJackieのChevrolet Camaro(*12)

Chevrolet Camero 1970’s”より。


とDaveのChevrolet Impala(*13)


“Chevrolet Impala 1970’s”より

の2台の8気筒の高級大型車を預かりました。1ヶ月以上も放置すると盗難に遭い、電気系統に支障をきたす可能性があったからです。Daveはアパートの鍵を預かり留守中の管理まで頼まれてしまいました。筆者にとってはあちこち車で走ることが出来るわけで、隣接するVirginia州Maryland州の名所を巡ることができました。

26年後、筆者は慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)でCollege of Williams and Maryにおける夏季研修を企画・運営することになりますが、この時、Colonial Williamsburg(*14)を訪れ、この大学とWilliamsburgの町に魅せられたのがきっかけになりました。それ以外にもShenandoah Valley(*15)、Chesapeake Bay(*16) 、Virginia Beach(*17)などなど、喧騒に疲れると訪れた思い出深い場所です。

“Williamsburg Virginia”より

(その7-4)に続く。オフィシャルサイトFor Lifelong English 生涯英語活動のススメをオープンしました。


(*11)“List of Passenger Cars” Wikipediaより。
(*12) “Chevrolet Camero 1970’s”より。
(*13) “Chevrolet Impala 1970’s”より。
(*14)“Williamsburg Virginia”より。
(*15) “Shenandoah Valley”より。
(*16)“Chesapeake Bay”より。
(*17)“Virginia Beach”より。

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鈴木佑治
サポートいただけるととても嬉しいです。幼稚園児から社会人まで英語が好きになるよう相談を受けています。いただいたサポートはその為に使わせていただきます。