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虎に翼 第49話

花岡(岩田剛典)と寅子(伊藤沙莉)がお昼ご飯を食べながら、お互いの近況報告。
彼は東京に戻り、経済事犯専任判事として食糧管理法違反の事案担当をしている……

ヤミ米。『サザエさん』原作漫画の連載開始はちょうどこの頃(昭和21年)で、初期の漫画ではヤミ米と、闇商売で手に入れた食料が警察官に摘発される場面が描かれている。配給の食料だけではとても足りなかったのだろう。磯野家とご近所の人々の描かれ方で、当時ヤミ米を手に入れるのが当たり前であったのが伝わる。寅子も同じだ。

それでも、その違反を取り締まる司法の人間である花岡のお弁当箱の中身は、配給の麦とクズ米?で作ったおむすび一つだけ……息子娘がいるというが、家族は食べられているのだろうか。

花岡が第19話の、梅子さん(平岩紙)の

「例え周りに強いられていても、本心じゃなくて演じているだけでも全部花岡さんなの」「花岡さんが思う本当の自分があるなら大切にしてね」「年を取るとね、本当の自分を忘れちゃうんだから」

厳しくも温かい言葉を、大切にして今まで生きてきたことに泣いた。あれからちょうど30話分時間が経っている。

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梅子さんの言葉だけでなく、34話で花岡自身が轟(戸塚純貴)に

「これからは何も間違わず、正しい道を進むと誓うよ」

これも守っているであろうことが気にかかる。
桂場(松山ケンイチ)の「よく寝て、体を休めろ」は激務の上に実直そのもの食生活を案じてのことだろうし、不安が募る別れの姿ではないか。

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ライアン(沢村一樹)とホーナー(ブレイク・クロフォード)の猪爪家訪問と、子どもたちへのチョコレートのプレゼント。

チョコレートと聞いて、思わず障子を開けて顔を出した直人(琉人)直治(楠楓馬)、優未(斎藤羽結)……子ども達の顔を見て、ホーナーの目に涙が浮かぶ。彼の祖父母はユダヤ人。ドイツからアメリカへの亡命者だった。子ども達に色々思い出してしまってということは、ホロコーストの犠牲になった親戚の中には、優未たちくらいの子らもいたのだろうか。痛ましい。

直明(三山凌輝)の

「戦争で何も傷ついていない人なんていないですよね」

は、この作品にしては珍しく、若干性急な台詞のように感じる。しかしこれも 第47話の感想 で触れた、朝ドラ『ごちそうさん』のめ以子が行き着いた結論であった。敗戦国、戦勝国ともに国民に大きな傷を残す。それが戦争である。

法律を、なんのために整えようとするのか。
これからの世を生きる子どもたちの為だろう。ライアン、ホーナーと共に思いを新たにできたからこそ、寅子は婦人代議士たちの意見書に署名できたのだ。
ところで、この意見書の署名欄。明律大学教授も弁護士も名を連ねているのを見つけて胸が熱くなる。どちらも女性だ。

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そして、いよいよ民法改正審議会。

バチバチに意見が対立する、神保教授(木場勝己)と穂高先生(小林薫)。この事態は予想していた。が、本番はここからだ。休憩時間に声をかけてきた穂高先生が、寅子に

「新しい仕事を紹介したい」「無理に法曹の世界にいることはない。家族を養うためにここにいるんだね」「君をこの道に引きずり込み、不幸にしてしまったのはこの私だ」

耳を疑うような、しかしけっして悪気はない善意100%の言葉を次々と。
審議会ではリベラルな立場で神保教授と意見を戦わせていた穂高先生が、強烈な的外れ発言を寅子に浴びせかけるのは、ホラー風味を感じるほどであった。

そして、ついに。寅子の口から

「……はて?」

来たっ!と思った瞬間、桂場も瞬時に反応していたので大笑いした。
おおおお、本当に寅子復活か!?

(つづく)





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ぬえ
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