虎に翼 第52話
花岡(岩田剛典)の死から1年。前回(感想はこちら)よね(土居志央梨)と轟(戸塚純貴)のバディ結成は彼の供養にもなった気はするけれど、そう簡単に切り替えられないな……と思っていた。が、
画面にふんどし一丁で滝行をする多岐川役の滝藤賢一が現れて「??!??」となり一瞬、花岡のことが薄らいだ。
かなりのガチ滝行をする多岐川、一体何者なんだ……
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桂場(松山ケンイチ)から、家庭裁判所設立準備室に突然の異動を命じられた寅子(伊藤沙莉)の
「今、私の力が必要だと?」
この一言で、さすが謙虚とは無縁の女!と笑ってしまった。あれから1年、完全復活してるじゃないか寅子。
家庭裁判所設立の暁には裁判官にほしいと交渉。それくらいは言ってもいいと思う。謙虚云々とは関係なく、人事に希望は伝え続けねば。
……あっ。桂場のデスクの上の新聞に、花岡未亡人の記事が。
『画面にいばらの道~人気よぶ花岡判事未亡人の個展~』
「判事なるが故にヤミ買いを一切断ち市の行進を続けた花岡悟氏(当時32歳)の未亡人奈津子さん=佐賀県杵島群白石町=の個展が十八日から銀座で(略)作品はニ十点(略)生々しい身辺雑記やわびしい一家の家庭生活がにじみ出た力作である」
花岡の結婚相手・奈津子さん(古畑奈和)は画家だったのか……それとも花岡の死後、画家として生計を立てることになったのか。画風はこれまでの辛い生活、経験が反映されたもののようだ。それにしても、花岡は享年32か。つくづく若すぎる。
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家庭裁判所設立準備室の前で、スルメを炙るチョビ髭の多岐川。
いちいち行動が個性的だが、滝行でも焼き上がったスルメの前でも真剣に考え込んでいる。
そして、ここでも小橋(名村辰)。彼もさすがに寅子の「わあ!小橋くんも同じ部署なのね!」の反応はもう期待していないのだろうが、寅子を見てるな……彼は前の民事局民法調査室でも、なんだかんだいって常に寅子に注目していた。そして、今度は稲垣(松川尚瑠輝)も一緒だ。
彼には「稲垣さん!お久しぶり!」なのか寅子。
彼も割と大概だったぞ寅子。
稲垣「花岡のこともあったからさ」
この言葉に、背を向けたまま反応する小橋。彼は親しくつきあってたよね……花岡と。
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餓死した花岡をバカタレ判事という多岐川に憤る寅子だが、個人的には多岐川の意見に一部賛成だ。51話の感想でも書いたが、涙して厳かに思う死というより怒りをもって記憶すべき死だと思う。あんなバカな死に方をさせた国に怒っている。
「君も正しい。俺も正しい」「喧嘩ほど時間の無駄はない。わかりあえないことは諦める!」
まあ、それも大体は同意。だって他にエネルギーを使いたいものね。
直接向きあったらなにかと腹が立つだろうが、多岐川は面白い人だ。
それにしても、色々とフォローする汐見さん(平埜生成)の言葉に、今までの彼の苦労が偲ばれる。
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猪爪家の場面で感動してしまったのが、花江ちゃん(森田望智)が手渡した味見の小皿に、はるさん(石田ゆり子)が、即、うんと頷いていたこと。ふたりとも無理をしている様子はない。「もうちょっと甘くして」で鬱々とした日々が遠い昔のことのようだ。少しずつ歩み寄り言いたいことは言い、お互いに夫を亡くし支え合って、家族になっていったふたりのこれまでを思う。
そして優未(金井晶)!大きくなってる!
先代(?)優未の頃から、この子の面倒を見る……子守をしているのは花江ちゃん、はるさんではなく直人(琉人)と直治(二ノ宮陸登)であるのが、猪爪家らしい。花江ちゃん、はるさんが抱っこしている場面もなくはないけれど、あやしている・遊んであげるのは主に彼らだ。
家庭の中での役割を性別で分ける必要はないのだというメッセージのように見える。
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少年審判所所長の壇(ドンペイ)と家事審判所所長の浦野(野添義弘)。どちらも合併して家庭裁判所を作ることに、強く反対している。
浦野「彼ら(少年審判所)は行政機関でしょう。我々の司法の独立が保たれなくなるでしょう」
こういった意見を戦わせるならわかるが「バカタレ」「野蛮な方々」という言葉が飛び交うなら、つきあいきれんなあ……そりゃ寝ますわ。
家庭裁判所がいずれ成立することは、現代人だから知っているけれど経緯は知らない。さて、どう描かれる。
(つづく)