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虎に翼 第31話


弁護士編スタート。と、同時に優三(仲野太賀)が猪爪家を出てゆく。
……あれ。なんでしょう。この喪失感は。猪爪家の家族同然、優しくて頼もしい優三が寅子(伊藤沙莉)たちの傍からいなくなるということが、視聴者としてとても寂しい。

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花岡(岩田剛典)と寅子の会話。

「(花岡さんが裁判官になったら)盛大にお祝いしましょう」
「期待しちゃっていいんだね」
「ええ、もちろん!期待してて」

……これは……お互い、齟齬に気づいていないところが厳しい感じがする会話である。寅子が花岡の表情と口調とを全く気に留めていないの、花岡もまた気に留めていない。
花岡くん。悪いこたぁ言わない。今のうちに、ちゃんと結婚の意志を言葉にして伝えたほうがいい。
夢であった弁護士になった、それも数多の仲間の屍を背負うような思いで合格して働き始めたばかりの彼女が、このタイミングで結婚に同意するかどうか(当時の一般的な感覚として)結婚したら妊娠、出産が控えている。……このタイミングで?

それは寅子が望んでいるのか、花岡くん頼むから言葉にして確かめて。今ならまだ傷は浅くて済む。
断られること前提で話をすな、と言われそうだが。

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国家による言論弾圧と、大学、学術界への干渉。
現代への警鐘のような事例がドラマ内で描かれる。非公開の裁判で、傍聴席には特高が座る。非常にきな臭い。

純朴で素直な轟(戸塚純貴)は「お国のために質素倹約!」と日の丸弁当をかっこみ、猪爪家に流れるラジオからは金属供出、鍋やヤカンなどを国に差し出して奉仕せよという報が流れる。
ますますきな臭い。

そんな中でも、寅子の地道な努力と雲野弁護士(塚地武雄)の優れた法廷戦術で一審は無罪判決。この興奮を誰かに話して理解してもらい、ともに喜び合いたい…「優三さんがここにいてくれたら」と思うんだね、寅子。
そして、その時に花岡さんに話そう!とはならないんだね。そうかぁ……花岡くん、これはますます厳しいぞ。

そこにかかってくる、花岡からの合格した、裁判官になれるのだという電話。

「お祝いしてくれるんだろ(略)できればふたりきりで」
「花岡さんはそれでいいの?」
「ああ、それがいいんだ」

……それが、いい……?おやおやおや?
さすがに、寅子も気づいたらしい。明日が楽しみのような、怖いような。

(つづく)

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ぬえ
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